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【すでに1000万円ダウンの物件も】不動産プロが注目する「首都圏マンション”2030年下落”問題」

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記事投稿日:2025.10.14 19:35 最終更新日:2025.10.14 19:39
出典元: SmartFLASH
著者: 『FLASH』編集部
【すでに1000万円ダウンの物件も】不動産プロが注目する「首都圏マンション”2030年下落”問題」

ペントハウスの分譲価格は約200~280億円と言われ話題となった麻布台ヒルズ レジデンス 写真・皆川拓哉

 

 今年7月、不動産経済研究所(東京・新宿)が「東京23区における2025年1〜6月の新築マンション平均価格は1億3064万円。前年同期比20%上昇」と発表。さらに、東京カンテイが「新築マンションの平均価格が平均年収の何倍か」の指標となる「年収倍率」が、「東京都は約18倍」と発表してマンション購入希望者のため息を誘った。

 

「円安などにより、輸入建築資材はここ数年で30〜40%も高騰しています。そして人件費の増加。さらには外国人投資家による投資資金の流入なども影響して価格が上がっています。これはすぐに解決できる問題ではありません。そのためマンションデベロッパーは、水回りのグレードを下げたり、玄関の面積を狭くするなどして、1戸あたりの専有面積を狭くすることで販売戸数を増やし、価格を抑える工夫をしています」

 

 不動産価格の動向に詳しい、オラガ総研の牧野知弘代表は価格高騰の背景と販売の現状をこう説明する。しかも金利は今後、上昇するとみられる。そうなると金利分を含めた「総返済額」はますます増えるのだ。

 

 都内在住の30代サラリーマンが「マンション購入は人生の選択肢からはずした」と嘆くのも納得の超高価格。果たして庶民に明るい住宅未来はないのだろうか。

 

「ブランド立地と言われる麻布、広尾などは基本的には下がらないと思われますが、高級住宅地の代表と言われる世田谷区でも、最寄り駅までバスを使うなど交通が不便な地域の価格上昇は鈍るでしょう。次第にエリア格差が出てきます。

 

 また、昨今の価格上昇に釣られるように高騰した『実力以上に上がりすぎた地域』も価格調整が見込まれます。具体的な地域としては足立区、葛飾区、江戸川区です。再開発でタワマンができた北区十条もそういったエリアになります。

 

 また、東京と接している埼玉県、神奈川県の市部も価格が上がりすぎていると思われますので、価格調整が期待できます」(牧野氏)

 

 実際に本誌編集部がデベロッパー大手7社のブランドマンションを対象に中古価格を調査したところ、足立区・北千住、杉並区・浜田山、世田谷区・等々力などの駅近マンションで、新築当時の価格より数百万~1000万円ほど下がっているケースがあった。

 

 マンションリサーチ株式会社の福嶋真司氏は、東京23区外でも下落方向の“価格調整”が見受けられると話した。

 

「エリアのシンボリック(一番高級)なマンションの価格動向とエリアの相場の動きには相関関係がありますので、そうしたマンションの値動きを見ることで、将来的な価格の方向性を予想できます。西国立、府中市白糸台、立川、北八王子、武蔵小金井、京王永山などは、今のところは相場として強いのですが、シンボリックなマンションの価格を見ると微減方向にあります。そうしたことから、価格調整が行われる可能性があります」

 

 マンション価格の下落傾向は朗報だが、不動産会社のベテラン営業マンは「価格が下がっているマンションは『管理会社がわからない』『ブランドマンションではない』『郊外に建つなどの物件』が多く、築15年ほど経つと、住宅設備の不具合なども出てきて修理や交換などで費用もかかるので注意が必要です」と指摘する。

 

 そして、牧野氏は「2030年以降、住宅価格が下がる可能性があります」と言う。2030年に何が起きるのか。

 

「2025年9月15日時点で、東京都では65歳以上の高齢者は312万人、75歳以上の後期高齢者は184万人いらっしゃいます。いずれも過去最多です。平均寿命などを勘案しますと、2030年過ぎには多くの方がお亡くなりになる可能性があります。そしてこの年代は『持ち家率』がとても高いので、子供たちがそれを相続することになります。

 

 ところが50代の子供たちはすでに持ち家に住んでいることも多い。そうなると相続した物件は不要になり『貸すか。売るか』の選択を迫られます。しかも子ども世代の夫婦がどちらも一人っ子だったら2軒を相続することになります。そうしたことから、2030年以降は住宅マーケットに物件が大量に供給されると思われるのです」

 

 今度は「家あまり」の時代に突入するのだろうか。

 

写真・福田ヨシツグ、皆川拓哉

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