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住む街を「ガラの善し悪し」で選ぶと意外な落とし穴が
ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2018.04.06 11:00 最終更新日:2018.04.06 11:00
私たちが引っ越し先を決める際、転居候補地のまちの治安の善し悪しを気にしない人はまずいないでしょう。
市区町村ごとの治安の善し悪しをわかりやすく比較する指標としてよく引用されるのが、人口当たりの犯罪発生度合いで、少なければ少ないほどまちは安全、という理屈です。
一方で、私たちはまちの安全・安心を、「ガラの善し悪し」といった言葉で表されるような、いわば皮膚感覚でも判断しています。
ただし実際のところ、こうした皮膚感覚(まちのイメージ)と客観的なデータが一致しているかといえばはなはだ疑問です。実はここに大きな「不都合な真実」が潜んでいるのです。
こういう例で固有名詞を出すのも気が引けますが、東京都足立区、同武蔵野市、神奈川県川崎市、千葉県浦安市について、それぞれの人口1万人当たりの刑法犯認知件数を想像してみてください。少ない順に並べるとどうなると思いますか。
これら4市区を引き合いに出したのは、それぞれ特徴的なイメージを持った都市だからです。まず足立区は、ヤンキーやヤンママが多いといわれるほか、犯罪が多発する危険なまちというイメージが定着しています。
次に武蔵野市ですが、住みたいまちアンケートで毎年のように首位を争う「吉祥寺」を擁しているまちです。新宿・渋谷両方への鉄道交通の便がよいのに、地元にも十分な商業集積があり、さらに井の頭公園や成蹊大学など緑豊かで、ゆったりとした街並みを持っています。
続いて川崎市ですが、工業都市・公害都市として過去から積み上げられたガラの悪いイメージが残っています。
最後の浦安市は、古くは漁師町だったのですが、東京ディズニーリゾートを擁し、市役所は豊富な税収を誇り、行政サービスが手厚い新興住宅地というイメージに変わっています。
以上、あえて意図的な書き方をしてみました。要するに世間の風評では、武蔵野市、浦安市はイメージ良好、足立区、川崎市のイメージは劣悪、ということがいいたいのです。そしてよいイメージのある都市なら、まちも安全だろう……とつい思ってしまいがちです。
ところが、各地の警察が公表しているデータに基づく2017年の人口1万人当たりの刑法犯認知件数で比べるとどうでしょうか。
少ないほう(安全なまちであるほう)から、まず川崎市(55.7)、続いて足立区(96.9)、その次に浦安市(101.5)、一番悪いのが武蔵野市(116.7)、という結果になります。武蔵野市に至っては、川崎市の2倍以上悪い数値になっているのです。
つまり、川崎市はガラが悪い、物騒だ、というイメージは、あくまでイメージであって、数字で証明されてはいないのです(むしろ川崎市は、大阪市や福岡市など、全国の20政令指定都市の中でも毎年トップをうかがう低犯罪都市であり、数字の上では明らかに安全なまちの部類に入ります)。
また、足立区についても、かつてはもっと刑法犯認知件数が多かったのですが、区を挙げての「ビューティフル・ウィンドウズ運動」などの取組により犯罪の発生抑止に努め、ここ10年ほどの間に件数は激減しています。
ここでちょっと考えてみてください。イメージのよいまちは、おそらく、不動産価格にも地名に基づくプレミアム(割増料金)が上乗せされているはずです。
逆にイメージがよくないエリアは、風評被害を受けている分、本来持っているまちの実力に比べて不動産価格における評価が低く、相対的に安い水準で物件が買えるかもしれません。
要するに、知る人ぞ知るお買い得エリアかもしれない、ということです。
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以上、大原瞠氏の新刊『住みたいまちランキングの罠』を元に作成しました。住みやすいまちをめぐるさまざまな誤解や「不都合な真実」に光を当てます!
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