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【サッカー】日本国内に健全な移籍市場を!Jリーグが「移籍金でしっかり稼ぐ」には?

ライフ・マネー 記事投稿日:2026.08.22 11:00 最終更新日:2026.08.22 11:00

【サッカー】日本国内に健全な移籍市場を!Jリーグが「移籍金でしっかり稼ぐ」には?

イングランドの名門トッテナムに加入した高井幸大(写真:REX/アフロ)

 

 日本人選手の海外移籍では、移籍先のレベルが絶えず議論となる。ベルギー、オランダ、デンマークといったヨーロッパの中堅国のリーグへ行くのなら、Jリーグでプレーしていたほうがいいのでは、という疑問がつきまとう。

 

 世界中のプロリーグやメディアが公式統計として採用するデータ分析サービス「Opta(オプタ)」が、世界各国のリーグを比較した格付け「パワーランキング」を発表している。2026年5月28日アップデートのランキングを見てみよう。

 

 トップ5は5大リーグが占める。1位はイングランド・プレミアリーグ、2位はドイツ・ブンデスリーガ、3位はスペインのラ・リーガ、4位はイタリアのセリエA、5位はフランスのリーグアンだ。6位はブラジル、7位はベルギー、8位はポルトガル、9位はイングランド2部、10位はアルゼンチンとなっている。11位以下はデンマーク、ポーランド、クロアチア、ノルウェー、トルコ、エクアドル、オランダ、コロンビア、パラグアイ、アメリカと続き、21位にJリーグが登場する。スイスは26位、スウェーデンは29位、オーストリアは34位、スコットランドは38位だ。

 

 このランキングに沿って考えると、オランダは日本と同レベルと見なされる。スイスやオーストリアは日本よりも低い。

 

 選手のキャリアアップにおいては、「ヨーロッパというマーケットにいることに価値がある」と言われてきた。

 

 たとえば、26年1月にドイツ・ブンデスリーガのフランクフルトへ移籍した小杉啓太は、スウェーデン1部のユールゴーデンからのステップアップだ。同時期にブンデスリーガのヴォルフスブルクへ移籍した塩貝健人は、オランダ1部のNECでプレーしていた。

 

 慶應義塾大学の卒業を待たずに渡欧した塩貝は、26年のFIFAワールドカップ北中米大会の日本代表メンバーに選出された。26年1月31日にオランダのAZアルクマールと契約した市原吏音は、J2リーグのRB大宮アルディージャからの海外移籍である。世界各国のリーグをオンラインで見ることができる現在、物理的な距離は移籍を阻む障壁とはならないのではないだろうか。

 

 ヨーロッパの25‐26シーズンを控えた移籍市場で、川崎フロンターレの高井幸大がイングランド・プレミアリーグのトッテナム・ホットスパーへ完全移籍した。30年までの5年契約である。04年9月生まれの高井は、192センチの身長を誇るセンターバックだ。24年のパリオリンピックで最終ラインを担い、大会後は日本代表に選ばれていた。21歳という年齢も市場価値が高い。トッテナムはそのポテンシャルに、500万ポンド(約10億7500万円)というオファーを提示したのだった。年齢と将来性を加味した客観的な評価に見合った金額で、日本人選手が移籍した初めてのケースだと言ってよいだろう。

 

 高井の一学年上の鈴木淳之介は、高井と同じ25‐26シーズンにベルマーレを離れてコペンハーゲン(デンマーク1部)の一員となった。コペンハーゲンが鈴木の獲得に費やした移籍金は、デンマーク通貨で900万クローネ(約2億2400万円)と言われている。鈴木の加入後の活躍を目の当たりにした地元メディアは、「かなりの掘り出し物」と評した。

 

「Global Transfer Report 2025」によると、25年の移籍金の大半は50万ドル未満だったという。為替レートにもよるが、およそ7950万円である。そう考えると、コペンハーゲンからベルマーレへ支払われた2億円は、安い金額ではないのかもしれない。

 

 ヨーロッパ各国のリーグとJリーグには、選手の国際移籍にも関連した違いがある。ビッグクラブの有無だ。5大リーグはもちろんオランダ、ベルギー、ポルトガル、トルコ、ギリシャなどにも、国外で知られているクラブがある。ビッグクラブと呼ばれるチームは、歴史、実績、実力、資金力を兼ね備えている。その国のリーグで抜きんでた実績を残し、強者としての歴史を築いている。それによって、魅力的で実力のあるチームを作る。

 

 ここで注目したいのは「資金力」だ。

 

 ドイツのバイエルン・ミュンヘンは、ブンデスリーガの他クラブから有望な選手を絶えず獲得している。25‐26シーズンのメンバーならば、ドイツ代表でキャプテンを務めるヨシュア・キミッヒ、同じくドイツ代表のヨナタン・ターやレオン・ゴレツカ、フランス代表のダヨ・ウパメカノ、ポルトガル代表ラファエル・ゲレイロ、日本代表の伊藤洋輝らは、ドイツ国内のクラブからバイエルンに加入した選手だ。

 

 ブンデスリーガ内で完結する移籍だから、ドイツ国内で資金が循環するとも考えることができる。ビッグクラブのバイエルン・ミュンヘンという買い手がいることで、ブンデスリーガの他クラブは移籍金収入を得ることができ、次なる強化へ投資できる。これは、自国にビッグクラブがあるメリットのひとつだろう。

 

 10億円超の移籍金が発生した高井のようなケースが増えれば、「移籍でしっかり稼ぐ」ことが可能になる。目指すべきは、日本国内の中小規模のクラブから、同じく日本のビッグクラブを経由して、ヨーロッパへステップアップするルートの確立だ。言いかたを変えれば、日本のビッグクラブが、現在の移籍市場におけるヨーロッパの中堅国の立場を担うイメージだ。国内移籍が活発化し、日本に健全な市場が形成されることで、選手の価値に見合った移籍金が日本国内でやり取りされるのではないだろうか。少なくとも、安く買い叩かれるケースは減るはずだ。

 

 

 以上、戸塚啓氏の近刊『大宮アルディージャはなぜ外資に買収されたのか? 日本サッカーとスポーツビジネスに起きた「革命」』(光文社新書)をもとに再構成しました。レッドブルが導入する最先端の育成とクラブ経営哲学を解き明かし、Jリーグが世界市場へ逆襲する道筋を描きます。

 

■『大宮アルディージャはなぜ外資に買収されたのか?』詳細はこちら

出典元: SmartFLASH

著者: 『FLASH』編集部

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