
少額短期保険業者数と収入保険料の推移
「好きなアイドルのライブに遠征する予定が、悪天候で飛行機が欠航。ホテル代と合わせて数万円がパーに……」
そんな絶望から救ってくれる通称 “ミニ保険(少額短期保険)” が今、密かなブームを呼んでいるのをあなたはご存じだろうか――。
「2006年の保険業法改正で誕生したミニ保険は今年で20年を迎え、いまや、この種の保険を扱う会社は122社と、損保や生保会社の数倍。保有契約件数は、前年(2025年3月)比で83万件増加し、収入保険料も129億円増の1665億円と、ミニ保険業界は右肩上がりです」
こう話すのは、ファイナンシャルプランナーの平野敦之氏だ。ミニ保険はその名のとおり、支払われる保険金額の上限が通常の保険より少額(種目により異なり計1000万円以内)で、保険期間も短い(1年もしくは2年)商品だ。
「保険金額が少額なので、一般の生命保険や損害保険の補完として活用できます。また、既存の保険会社が販売しないような、独自性の高いユニークな商品が揃っています」(平野氏、以下同)
ニーズが合えば、いざというときに心強いミニ保険を、まとめた。まず、平野氏が「見せ方がうまく、ネーミングの勝利」と話すのが『推し活キャンセル保険』(Mysurance)だ(以下、保険商品ついては画像の「ミニ保険リスト」参照)。
「これは、業界団体主催のコンテストで今年の“少額短期保険大賞”を受賞した保険です。予約した旅行やイベントをやむを得ずキャンセルした際に発生する違約金を補償する費用保険の一種で、中身自体は、既存のキャンセル保険と大きく変わりません。でも、『推し活』を商品名に入れたのが興味深い。実際に推し活をしている方たちにお会いして、徹底的に話を聞いて分析したらしいですよ。たとえば、申込み画面を推し色に切り替えるカスタマイズ機能をつけるなど、細部まで工夫したそうです」
■全国の弁護士にSOSを送れる保険
『チケットぴあ「チケットガード」』(AWPチケットガード少額短期保険)も、キャンセルに対応するミニ保険だ。
「こちらは、急に行けなくなった際の “チケット代の損失ぶん” を、幅広い事由で補償してくれるのが特徴です」
『ワンタイムやまの保険』(まごころ少額短期保険)など、直前にスマホで簡単に入れる1日型の保険もある。
「遭難時の捜索救助費用の補償、傷害入院など山岳遭難をカバーする保険。レスキュー費用のみなどに絞った保険もあるので、必要なものと金額で選んでいただくのがいいでしょう」
『熱中症お見舞い金』(PayPayほけん ※引受:アイアル少額短期保険)も、スマホで手軽に入れる保険だ。
「猛暑で子供や親が熱中症になるのが心配というときには、手軽に入れていいと思います。同社の保険では、秋から春ころまで入れる『インフルエンザお見舞い金』もあります」
いざというときに、弁護士が対応してくれる保険もある。
「『弁護士保険コモン+』(エール少額短期保険)は、自身や家族がトラブルに見舞われた際の弁護士相談費用などを補償してくれる保険です。この内容で、月額1080円は良心的だと思います。同社は、弁護士を雇うのは厳しい中小企業や個人事業主向けに『弁護士保険コモンBiz+』も販売しています」
『男を守る弁護士保険・女を守る弁護士保険』(ジャパン少額短期保険)は、ヘルプコールがついているのが特徴だ。
「これは満員電車などで痴漢に間違われたり、逆に被害に遭ったりした際の弁護士費用などを補償してくれる保険です。何かあればスマホひとつで全国の提携弁護士にSOSが届き、連絡が取れる心強さがあります」
時代のニーズから生まれたのが『ネットあんしん保険』(ジェイコム少額短期保険)や『親子のあんしん賠償ライト』(Mysurance)だ。
「前者は個人情報の盗難、データの誤消去、SNSの炎上といったネットトラブルに対応する保険です。後者は学校配布のタブレットの破損や盗難、自転車事故などによる第三者への賠償などです」
日常生活の必需品には、万一に備えて保険をかけたいと考えるのが世の常というもの。
「『スマホ保険』(Mysurance)は、画面割れや水没の修理代、盗難などを補償してくれます。ほかにも数社が出しています。
また、高価な自転車やマウンテンバイクなどに乗る方の防犯ニーズにマッチした、『ずっと自転車盗難車両保険』(ZuttoRide少額短期保険)なども人気です」
『リボン認知症保険』(リボン少額短期保険)は、認知症になった親がトラブルを起こしたときのための保険だ。
「見せ方がうまいですし、心配を抱える家族には刺さりますよね。ただ、損保各社が取り扱う個人賠償責任保険には、責任能力のない家族が起こした事由も補償対象に含まれている商品もあるので、まずは加入中の保険の内容をよく確認してみましょう」
ペット保険を扱う会社も、この20年で一気に増えた。
「ペットの種類により月額1000円程度から手軽に加入できますが、終身タイプではないため、ペットの加齢にともない、一定の頻度で所定の年齢まで保険料は上がります。また、ペットの品種によって罹患しやすい病気をカバーしているかなど、金額の安さだけでなく内容も精査しましょう」
平野氏が熊本地震の被害を踏まえて紹介するのが『地震補償保険Resta』(SBIリスタ少額短期保険)だ。
「地震保険で地震に備える場合、火災保険の加入が必須ですが、これは単独で入れます。家族構成によって金額が違い、5人以上世帯で900万円までが最大ですが、地震保険でカバーしきれないぶんを補填する趣旨で作られています。保険料は月1000円以上しますが、地震の備えにはよい保険だと思います」
金額が手ごろで、ニーズにマッチすれば心強い備えになるミニ保険だが、平野氏は「手ごろだからこそ、内容を吟味すべき」と指摘する。
「まずはご自身が入っている保険の内容を見直し、検討中のミニ保険の内容と重複がないか確認してみてください。
また、少額短期保険は税務上、所得控除の対象外です。各保険の特性を理解して、比較するのが、賢い保険選びの鉄則です」
少額といえども、ちりも積もればなんとやら。重複して損することだけは、避けたいところだ。
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