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糖尿病もガンも認知症も…糖質制限はやっぱり人類を救う

ライフ・マネー 投稿日:2018.06.15 09:00FLASH編集部

糖尿病もガンも認知症も…糖質制限はやっぱり人類を救う

『写真・AFLO』

 

 いまやダイエットや体質改善の常識となりつつある、糖質制限。入口が「主食の米、パン、麺を減らす」と手軽なうえ、短期間で効果が出やすく、“信者” は増え続けている。

 

 一方、カロリーや脂質の制限を推奨してきたこれまでの専門家の主張を覆した理論でもあり、批判の声も少なくない。テレビでもときに、批判が展開される。

 

 4月には新たな主張として、「週刊新潮」が「老化」「短命」と「がん」「認知症」をテーマに2号連続の記事を掲載(4月5、12日号)、「女性セブン」が「老化」「お米ダイエット」で記事を掲載(4月12日号)し、注目を集めた。

 

 記事はどちらも、2018年の3月に発表された東北大学大学院の農学研究科チームによる実験の結果をきっかけにしていた。マウスを2群に分け、一方に主食である炭水化物を一切与えない「糖質制限食」、もう一方に脂質、糖質、タンパク質をバランスよく配合した「通常食」を与えたところ、糖質制限群は平均寿命より20〜25%も短命になったという。

 

 また、糖質制限群は通常食群に比べて30%も早く老化が進んだ、とも報告された。両誌とも、毛が抜け、見るからに弱ったマウスの写真を掲載し、糖質制限の危険性を訴えた。

 

 はたして糖質制限は本当に危ないのか。異なる分野で糖質制限を導入している、4人の専門家に聞いた。

 

「マウスの実験結果で人間の糖質制限を論じるなんて、理解できません」

 

 そう語るのは、糖質制限ブームの火つけ役でもある医師の夏井睦先生だ。

 

「ネズミはもともと穀物を食べて生きる動物です。生命力の源である炭水化物を一切与えなければ、それは不健康になるに決まっているでしょう。

 

 反対に人間は元来、肉食に適した生き物です。肉をはじめとするタンパク質は5分から10分もすれば胃液ですぐ溶けてしまうのに、米やうどんは10時間近く消化できないんです」

 

 糖質制限をガン治療に取り入れている臨床医の古川健司先生は、実験の条件の極端さを指摘する。

 

「まったく糖質を与えない、というのはガン治療でおこなうレベルの話。普通の状態の生き物なら、悪いデータが出るのは当然です。

 

 また『週刊新潮』は、大腸ガンの権威である米ジョンズ・ホプキンス大のボーゲルシュタイン教授らが発表した『低血糖がガンを発生させる』という論文を根拠に、糖質制限を批判しています。

 

 しかし、糖質制限をしても、人体では糖質以外の物質からブドウ糖を作る『糖新生』が起きるので、低血糖にはなりません」

 

 古川先生が監修を務めた『免疫栄養ケトン食でがんに勝つレシピ』(光文社)の著者で、管理栄養士の麻生れいみ先生も、「週刊新潮」の矛盾点を指摘する。

 

「糖質制限反対派として登場する、Y’sサイエンスクリニック広尾の日比野佐和子統括院長が、『3年間ストイックに糖質制限を続けたら、脳梗塞になりかけた』と語っていますが、最近の女性誌に、糖質制限を上手に取り入れて理想的な食事を摂られている様子が特集されていましたよ。

 

 糖質制限は、“食べるダイエット”。カロリー制限とは考え方がまったく違います。またリスクや禁止事項など、正しい知識を身につけることも大切です」

 

 妊娠の影響で発症する糖代謝異常である、妊娠糖尿病の治療を数多くおこなう宗田哲男先生も、「糖質制限で老化が早まる」との主張に強く反論した。

 

「糖質制限をすると、エネルギー代謝の回路が切り替わり、体内でケトン体という物質の濃度が上昇します。このケトン体は、ブドウ糖と同じく脳のエネルギー源となるものですが、それが老化の原因になるというのです。

 

 しかし世界的にも、老化の原因は『酸化』と『糖化』、つまり糖質であるという考え方が主流です。私の研究では、これから成長していく胎児はケトン体の塊であることがわかっています」

 

 ケトン体への批判については、夏井先生も反論する。

 

「『糖質制限をすると、ケトン体燃焼の影響で睡眠中の脳がエネルギー不足に陥る』という記述がありました。脳は睡眠中も活発に活動していますので、睡眠時のエネルギー補給は、体内に貯められる量の少ないブドウ糖は不向き。脂肪を代謝するケトン体がいいのです」

 

 また、長年にわたり糖質制限と寿命との関係について、あたかも正しく研究がなされてきたような記述があることも問題である、と夏井先生は語る。

 

「数百人の被験者の糖質制限を10年以上にわたり調査した、という欧米の論文を論拠に、寿命が短くなったという主張がありました。毎日、他人の食事を正確に把握することは困難です。調査や研究で人数が多いもの、期間が長いものは被験者の自己申告頼りになり、信頼性はあまり高くありません」

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