
「AIカメラ検査」に使用する大腸カメラを持つ端山院長。
「生存率は高いにもかかわらず、死亡者数が減りにくい」
専門家たちの間でこう言われているのが、日本人男性が罹患しやすいがん第2位の大腸がんだ。国立がん研究センターの統計では、早期(ステージⅠ)で発見・治療できた場合の大腸がんの5年生存率は93%に上るが、同時に、がんの部位別死亡数でも肺がんに次いで2位で、昨年も予測値で約3万人が亡くなった。今年7月23日には、人気作家・東野圭吾氏(享年68)も大腸がんで亡くなっている。
「大腸がんは、そこまで進行が早いがんではありません。年に1回便潜血検査(検便)を受ければ、そこで引っかかって早期発見できるものなので」と話すのは、オンライン診療サービス「ウチカラクリニック」の森勇磨医師だ。では、なぜ大腸がんによる死亡者数は減らないのか?
「タイミングの問題があります。便を取ったときに腫瘍があるとは限らないですし、それこそ腫瘍があっても、そんなに出血をしないパターンもあります」(森医師)
さらに、検査結果を “素人判断” する例も多いと続けた。
「そもそも、便潜血検査を受けていない人もけっこういるし、検査で陽性が出ても放置している人も多いんですよ。『自分は痔だから…』とか。大腸がんを自覚するのは難しいですが、痔だっていうことは自覚できますから」(同前)
陽性結果でも放置することが、 “手遅れ” になる要因のひとつになっているという。
「便潜血検査は、大腸がんの精密検査ではありません。便に血が混じっているか、いないかを調べるものなので。その出血が痔によるものなのか、大腸がんによるものなのか判断はできないんです。だからこそ、定期的に大腸カメラの検査を受けてほしいです。カメラでぐるっとポリープなどを含めて診るので、情報量が違います。便潜血と大腸カメラ検査が、予防としてはいちばんの組み合わせになるかなと思います」(同前)
だが、いざ大腸カメラ検査となると躊躇する人も多いのではないだろうか。下剤を飲んで、尻からカメラを腸へ挿入……かなりの一大事だ。
「昔の大腸カメラの内視鏡は、それこそ棒みたいでした。それをお尻に入れるので、患者さんの負担は大きかったと思います。今は内視鏡自体が柔らかくなっていますし、患者さんに負担をかけない挿入法もあります。薬で眠っているうちにできますし、ポリープは日帰りで取れます」
「おなかとおしりのクリニック東京大塚」の端山軍院長は、大腸検査の最新事情をこう解説した。端山院長も便潜血検査のほかに、「大腸カメラの検査を受けるべきだ」と話す。
「この前も、便潜血検査で陽性なのに『自分は痔だと思うから何もしなくていい』という患者さんがいました。ただの自己判断です。だったら、大腸カメラで本当に痔が原因か調べるべきです。医師が必要と判断した場合は、保険がきくので受けやすくなっていると思います」(同前)
大腸カメラの検査料は、3割負担の場合で何もなくて7000円、組織を採ると1万円、ポリープを取ると2万円前後になる。端山医師の病院では、大腸カメラの映像をAIが解析し、病変を検出する最新機材で検査するが、検査料はほぼ変わらないという。
「AIの検査料は……機材の値段を考えると元はとれません(笑)。それは置いといて、AIと医師のダブルチェックになるので、 “見落とし” が減りますね。便潜血検査だけでなく、定期的に大腸カメラ検査も受けてほしいです」(同前)
躊躇せず受けるメリットは十分にある。
写真・福田ヨシツグ
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