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マツダのトップエンジニアが「エンジンには未来がある」と断言

ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2018.06.17 11:00 最終更新日:2018.06.17 11:00

マツダのトップエンジニアが「エンジンには未来がある」と断言

 

 近年、自動メーカーを取り巻く環境が、劇的に変化しつつある。欧米の著名なメーカーが中国やインド資本の傘下に入り、自動運転やEV(電気自動車)といった新技術への法整備も進んでいる。もちろんこの流れには、日本のメーカーも巻き込まれている。

 

 EVシフトが起こるなかで、クリーンな新時代環境エンジン「スカイアクティブX」を積極的に開発し、一人、気を吐くメーカーがマツダ。その中心にいるのが、マツダ株式会社常務執行役員・人見光夫氏だ。

 

「エンジン時代の終焉」とでも言いたげな現状について質問すると、マツダもEVについてやるときはやる、と前置きしたうえで「エンジンにはまだまだやることがいっぱいあります」と、きっぱり。

 

「EVがすべての状況でクリーンだというのはおかしな考えです。たしかに走っているときはCO2を出していないかもしれませんが、使う電気が火力発電所でつくられていたら、CO2を出しているということになります」

 

 人見氏によれば、エンジンの効率を25%改善すれば、もっともCO2排出量が少ない場合の火力発電による電気を使ったEVと、排出量の低さにおいて並ぶことができるという。

 

「25%は、けっして小さくない数字です。しかしマツダは、SPCCIという独自の技術で、空燃比(空気と燃料の比率) 30対1という、相当薄いガソリン混合気を燃焼させることに成功しました。これを用いたエンジンがスカイアクティブXです」

 

 ガソリン混合気を非常に薄くしても、燃やすためには今まで以上の高圧縮比にする必要がある。そうすると高いトルクを出すところは激しいノッキングが起こる。

 

「これをいかに手なずけるかが大きな課題でした。また非常に薄く燃やしている領域も点火プラグで圧縮着火、つまりノッキングを誘発しているわけです。

 

 私たちは『全領域でノッキングを手なずけた』と言っているのですが、もちろんそれだけではまだ終わってはいません。さらに次世代の『第3世代SKYACTIV』は、エンジンの熱効率は50%を目指しています」

 

 これで、前出と同じ条件のEVよりも、CO2排出量が下がる見通しだという。まだまだエンジンには可能性が残されているのだ。

 

(週刊FLASH 2018年5月29日号)

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