ヒデ氏が所有する高額なポケモンカード(写真・福田ヨシツグ)
1996年10月に第1弾が発売された「ポケモンカードゲーム」。ゲームソフト「ポケットモンスター」シリーズの世界をテーマにした対戦型トレーディングカードゲームだが、世界的な人気を受けて、“投資対象”と目をつける人たちがいる。
「カードゲームとしてプレイするためではなく、価値が上昇することを狙って買う人が増えているんです。過去にはわずか1枚で25億円の価格がついたカードもあります。カードの価値はその状態と、レアリティ(希少性)がすべて。
カードが複数枚入ったパックやBOXを購入すれば、中身によっては“元手”以上の利益が出ることもあり、買い占めによる転売がかねて問題視されてきました」(カード業界関係者)
とくに、2026年10月には、ポケモンカードが30周年を迎えるタイミング。記念パック「30th CELEBRATION」に含まれるカード等の相場高騰を見越し、巨額の資金を投じる“投資家”たちがすでにたくさんいるという。
だが前出の関係者も指摘するように、元来子どもたちが遊ぶためのものを“投機商材”にしているという世間からの批判的な視線は止まない。じっさい、店頭で販売対象を子どもに限定するといった転売対策を行う店舗もあるほどだ。
そんななか、本誌はポケモンカードを転売する“転売ヤー”のひとりに話を聞いた。未開封BOXを大量に保有するヒデ氏(仮名)だ。
「2025年の春先、友人に『来年ポケモンカードが周年を迎えるから、今のうちに集めておくと面白い』と勧められたのがきっかけです。最初は聞き流していたのですが、秋頃に彼が勧めていたカードの相場がすでに2倍に跳ね上がっているのを知りました。『株ならとんでもない上昇率だ』と、本格的に買い集め始めました
現物投資は初めてですが、もともとギャンブル寄りの投資が好きで、5〜6年前には仮想通貨にも手を出しました。2万円で買った『柴犬コイン』などのマイナーコインが数日で1000万円になったり、別のコインが2日で3500万円になったりした強烈な経験があります。もちろんその後、FXにハマって大きく溶かしてしまいましたが(苦笑)」(ヒデ氏)
ヒデ氏は再販が見込めない日本限定イラストのポケモンカードを中心に収集し、わずか2カ月で500万円をつぎ込んだ。現在、投資額はさらに膨らんでいるという
「1年ちょっとで約2000万円ほどかけて集めました。未開封BOXだけで約600箱、さらに状態がよく、専門の鑑定機関から高グレードの評価を受けたカードが約200枚あります。
正直、これを手元に置いておくのはハラハラしますよ。警備システムを導入した自社の執務室に置いていますし、防犯カメラも設置し、限られた人間しか入れないよう秘密の部屋としています」
彼が見込んだ通り、相場は凄まじい勢いで上昇したという。
「いちばんのピークは今年のゴールデンウィークから6月ごろまででした。2000万円の投資額が評価額で3500万円ほどまで膨れ上がっていました。1年も経たないうちにそれほどの利益が出るのは、ほかの投資ではなかなかあり得ないスピード感ですよ。
私は相場が下がったタイミングを狙って一人でコツコツ集めていますが、界隈には携帯電話端末を1000台規模で用意し、いわゆる『スマホ農場』を作って組織的に抽選販売に応募しまくるチームも存在しますね」
とはいえ、「もうはまだなり、まだはもうなり」と言われるように、高値のタイミングで売り抜くことの難しさも、彼らなりには抱えているようだ。
「3500万円になった6月までのタイミングで売れていれば最高だったのですが、相場が落ち着いてしまいました。とはいえ何とか利益を出す必要があるので、今は単純に転売するのではなく、事業に切り替えることに。
現在流行している『オリパ(オリジナルパック)オークション』の配信運営会社に参画し、配信の“ネタ”として提供する仕組みや、東京・秋葉原で実店舗のトレカショップ立ち上げも行っています。さらに、インフルエンサー経由でヨーロッパ向けのジャパンホビーショップを経営している方と繋がり、日本国内よりも高値で買い取ってもらえるルートも開拓しました。これで、1000万円分仕入れれれば、最低でもプラス100万円程度の利益が出るようになりました」
とはいえ、世間的な批判については、どう考えているのか。
「フリマサイトで買って、それを横流しして利益を得ている以上、世間から見れば『転売ヤー』になるのでしょう。それは否定しませんよ。
ただ、私自身は差益を取るビジネスとして割り切っています。もちろん、大量の回線を使う不正な買い占めは良くないと思いますし、最近メーカーが導入したマイナンバーカード認証での抽選など、一人が大量保有できないシステムは絶対にやった方がいいと賛同しています。
結局、ポケモンカードって、BOXで買った際に、その中にすごく高価なレアカードが入っているかもしれない、という期待感に価値がついているんですよ。開けた瞬間に1万円のBOXが100円になるかもしれず、それに大人が熱狂して買っていく。ポケカバブルの根底には“ギャンブル性”があるのだと思います」
そんな大人たちを、子供たちは呆れた目で見ているはずだ——。
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