ライフ・マネーライフ・マネー

「地震が起きたら、まず火を消す」「浸水時は長靴で」はOK? 間違えば“命取り”になる令和の「最新防災NG行動」

ライフ・マネー 記事投稿日:2026.10.11 06:00 最終更新日:2026.10.11 06:00

「地震が起きたら、まず火を消す」「浸水時は長靴で」はOK? 間違えば“命取り”になる令和の「最新防災NG行動」

千葉県内の豪雨で冠水した道路を進む救急車。防災知識のアップデートが必須の時代になっている(写真・梅基展央)

 

「地震が起きたら机の下へ」「『お・は・し』で避難」など、聞き覚えのある防災知識に従う人は多いが、それは、いつの時代の常識か。未曽有の気候変動が進む現在、旧来の知識のままでは命の危険に直面する可能性がある。勘違いしがちなNG行動と、令和の最新防災常識を紹介する。

 

■△ 「揺れたら机の下へ潜り込めば安心」

 

 大地震時に机の下へ隠れるのは基本とされるが、「建物の耐震性によっては危険な場合もある」と指摘するのは、防災・危機管理ジャーナリストの渡辺実氏だ。

 

「1981年以降の新耐震基準適用の家なら、落下物から頭を守るために有効ですが、古い建物では対応が変わります。家ごと倒壊し、圧死する危険が高く、なるべく早く外へ逃げるのが正解です。自宅の建築年次を確認し、新耐震でも、家具の転倒防止器具を設置することが最大の防御策です」(渡辺氏、以下同)

 

■× 「いかなるときも『お・は・し』厳守」

 

「おさない・はしらない・しゃべらない」は集団避難の基本だが、緊急時でも守るべきか。

 

「『走らない』をつねに厳守してしまうと、津波など一刻を争う事態では、逃げ遅れる致命的なリスクを生みます。まずは自分の命を守り、全速力で逃げるのが基本です」

 

■△ 「揺れたらトイレや風呂場に逃げ込む」

 

 トイレや浴室は四方を壁に囲まれ、構造的に強いため、揺れたら逃げ込むべき場所とされてきた。

 

「新耐震なら、転倒の危険を冒してまで狭いトイレに移動する必要はありません。一方、旧耐震の古い家でトイレに逃げ込むと、建物がゆがんでドアが開かなくなり、閉じ込められるリスクが高いです。万が一、閉じ込められた場合は、ドアを蹴破って脱出してください。日ごろからトイレ内にバールなどの工具を備えておくのもよいでしょう」

 

■× 「水没電気自動車は感電するから危険」

 

 電気自動車(EV)は水に浸かると感電する、と誤解する人も多い。

 

「EVは漏電を防ぐ水密構造なので、感電しません。しかし、EVでもエンジン車でも、深い水に入れば電装系がショートして動けなくなります」

 

 大雨でもアンダーパスなどに車で進入してしまう背景には、心理的な罠がある。

 

「『いつも通る道だから大丈夫』という正常性バイアスが働くためです。平時から迂回路を確認し、冠水したら進まない勇気を持ちましょう」

 

■× 「地震が起きたら、まずは火を消す」

 

 揺れたらすぐ火を消すのも、現在は推奨されない。

 

「現在のガス供給システムは揺れを感知すると、各戸のメーター部で自動で供給を止め、コンロの火を消します。無理に消しに行くと熱湯などを浴び、火傷するおそれがあります。まずは身の安全を最優先し、揺れが収まってから火の元を点検するのが、正しい手順です」

 

■× 「『米』の字に養生テープを貼る」

 

 台風などへの備えとして、窓へ「米」の字状に養生テープを貼った建物をときどき見かけるが、ガラスの強度は高まらない。米国土安全保障省も「テープ貼りは労力の無駄で防護効果はない」と否定しているという。

 

「テープは割れた破片が激しく飛散し、踏んでけがをするのを防ぐ処置にすぎません。テープを貼ったうえで、必ずカーテンを閉めてください。飛来物から完全に身を守るには、沖縄などのように外側に防護ネットや木の板を張るといった、物理的な対策を講じる必要があります」

 

■× 「冠水した道では長靴を履く」

 

 冠水時に長靴で避難するのも避けるべきだ。

 

「長靴は、水が入ると一気に重くなり、身動きが取れません。泥水のなかで脱げて転倒し、流される危険性も高いので、ふだん履き慣れたスニーカーが最適です。水圧で脱げないよう、靴ひもはきつく結んでください。裸足やサンダルは、水底の障害物でけがをするため厳禁。歩行時は傘や杖で足元を探り、慎重に進みましょう」

 

■× 「ライフライン停止で一目散に避難所」

 

 災害直後、すぐに家を空けて避難所へ向かうのもNGだ。

 

「停電中に倒れて消えている照明や、ストーブに衣類がかぶさった状態で電気が復旧すると、熱源となり、通電火災が発生します。過去の震災でも多数の被害が出ました」

 

 避難前に覚えておきたいアクションがあるという。

 

「倒壊しそうな緊急時を除き、家を離れる際は必ずブレーカーを落としてください。揺れで自動遮断する感震ブレーカーの設置も有効です。自治体の補助金制度などを確認し、導入しましょう」

 

■× 「在宅避難よりも避難所が安心」

 

 災害時には指定避難所に行くほうが安心、と思い込む人は多いが、国の方針は変化している。

 

「大勢が集まる避難所は、感染症リスクがあります。いまは自宅が安全なら留まる、在宅避難が推奨されています。在宅避難を選ぶことで、家を失った人など、本当に避難所が必要な人にスペースを譲ることにもつながります」

 

 大きなハードルとなるのが物資確保だ。

 

「在宅避難者には支援物資が行き届きにくくなります。単身高齢者は調達が困難なため、日ごろから水や食料、簡易トイレの十分な備蓄が不可欠です」

 

■× 「高級タワマンなら浸水被害と無縁」

 

 高層マンションは水害対策も万全と思われがちだが、下水道の排水能力が追いつかず、浸水するリスクがある。

 

「高層マンションは電気が命。配電盤などが水没し、停電すればエレベーターが止まり、陸の孤島と化します。水などを抱え、数十階まで上るのは、高齢者には不可能です」

 

 取るべき対策は明確だ。

 

「配電盤などは、管理組合で上階への移設を検討すべきです。また『高層難民』にならないため、自宅でろう城できる水や食料、簡易トイレの徹底した備蓄が命綱です」

 

 最新の知識こそが、あなたの命を救う。

12

出典元: 週刊FLASH 2026年10月20日・27日合併号

著者: 『FLASH』編集部

ライフ・マネー一覧をもっと見る

今、あなたにおすすめの記事

関連キーワードの記事を探す