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藤井聡太に勝利した「佐々木大地四段」難病も克服した不屈男
ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2018.08.03 11:00 最終更新日:2018.08.03 11:00
9歳で拡張型心筋症という難病を患い、生死の境を彷徨った。酸素チューブに繫がれた少年の心の支えは、将棋だった。師・深浦康市九段との運命的な出会い。重い病気を抱えた子を弟子にするのは、深浦にとっても大きな決断だった。
佐々木大地四段は家族に支えられ、病気を克服した。そして師の期待に応えた。奨励会三段リーグで次点を2回取り、フリークラスでの四段昇段。
30戦して勝率6割5分を超え、棋士のランキングである順位戦への参加資格を得た。1年めでこの条件をクリアしたのは、佐々木が初めてだった。
師譲りの、誠実で熱い男である。2017年、新人王戦の3回戦で連勝中の藤井聡太との対戦が決まったとき、「早く戦わせてほしい」と事務局に頼み込んだ。棋戦の進行は時期が決まっているため、連勝中の対戦はかなわなかったが、藤井との初対決を佐々木は制した。
藤井の活躍に対し、「若手は口には出さないが、悔しいはずだ」と話す。佐々木にとってメディアからの注目は起爆剤になる。不屈の男は、次の対戦を心待ちにしている。
ささきだいち
1995年5月30日生まれ。23歳。長崎県出身。深浦康市九段門下。2007年、小学生名人戦ベスト4。翌2008年、13歳で奨励会入会。2015年、三段で2度めの次点成績となり、フリークラス(順位戦の参加資格はない)での四段昇段。1年めで規定を満たし、翌年から順位戦に参加。昨期はC級2組で藤井聡太らと熾烈な昇級争いを演じた
写真&文・野澤亘伸
(週刊FLASH 2018年7月10日号)