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料理研究家「関口絢子」ないない尽くしからチャンスをつかむまで
ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2018.08.17 11:00 最終更新日:2018.08.17 11:00
東急東横線の都立大学駅から歩いて1、2分の高架下に、発芽大豆カフェ「ビタフラボン」が2018年6月にオープンした。この店のオーナー兼プロデューサーが、料理研究家としてテレビなどで活躍している関口絢子さんである。
「健康への関心が高まり、多様化するライフスタイルや忙しい日々のなかで、自らの食事に疑問を抱いている方は多いのではと感じます。
そこで、日常的に摂りやすく、啓発もできるような食べ物を作り、健康的な食生活のサポートができればという思いから、この店を始めました。
店の名はビタミンと大豆の栄養成分であるイソフラボンを合わせたもの。栄養価の高い『発芽大豆』を使ったメニューを、豊富に取り揃えています」
関口さんは、実家が料亭やレストランだったわけではないし、料理研究家の助手を務めたわけでもない。子供のころから料理番組を観ることが好きで、学校は食物学科を選んだが、料理の道に進もうとは思っていなかった。
それがどうして料理研究家に行き着いたのか?
「いちばんの転機といえば、出産後の28歳のときです。いろんなことに行き詰まった時期で、何かをやりたいという思いがあって……。でも思いだけで道が開けるわけもなく、子供を預ける場所もない、勉強したくても資金がない。
周囲の仕事への理解もなく、ないない尽くし。当時、インテリアコーディネーターと栄養士(現在は管理栄養士)の資格を持っていて、どちらかを一生の仕事にしたいと思ったときに、縁があったのが料理。
当時の状況下で許される最小限のお仕事でしたが、もし違うものと出会っていたら、今の私は存在していませんね」
ちなみに、関口さんの資格は独学で得たものだ。料理との縁は大手料理教室の講師を務めたことから始まる。料理の特別な知識がなくても、研修で学んだマニュアルどおりに教えればよかった。講師料を多少なりとももらいながら、自分の勉強もできた。
「そこで知り合ったスタッフの仲間と、みんなで料理教室をやろうということになって。私は子供が小さいし、お手伝い程度しかできないよ、ということで始めたのに、一人抜け二人抜け……。結果的に中心になって、10年続けました」
その過程で、33歳のときに、食に関するビジネスをやろうと、唐突に起業したのだという。しかし、実績がないため相手にされず、信頼を得るために本の出版を考えた。これが料理研究家を目指すきっかけとなった。
「本屋さんで料理本を眺めていると、時代のニーズが見えるんです。次はこのブームが来ると推測して企画書を作り、出版社に売り込んでチャンスをつかみました。
その後も独自性を模索し、大好きな美容と組み合わせることを考え、“食べることでアンチエイジング” をテーマに活動を開始しました」
日本ではアンチエイジングという言葉が知られていないころである。しかし、必ず風は吹くと信じていた。やがて風は吹きはじめ、料理研究家としての波に乗れた。
「40代の半ばに新たに(株)ウェルネッセを立ち上げ、いまはさまざまな商品を開発しています。病気になったり、リタイアした場合でも商品は動き続けるし、将来のためにそういう仕組みを作りたいと思いました。
専業主婦から一念発起し、持ち前の行動力だけで道を開拓してきましたが、やり抜いた実感からはほど遠く、まだ夢の途中です」
では、夢の行き着く先とは?
「ビジネスでは商品が全国、そして海外に広がること。自身については、経験と失敗から得た知恵で、構想が実現できたと思えること」
また、ライフワークとして走り続けた証しに、「健康に寄与するいまの事業を後世に残したい」そうだ。
店はオープンして間もないので、スタッフとの打ち合わせのために店に出る機会も多い。健康的なランチを食べに行けば、美女と評判の関口さんに会えるかもしれない。
(週刊FLASH 2018年8月21・28日合併号)