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藤井聡太を打ち破った男「大橋貴洸四段」が語る攻略法
ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2018.09.11 16:00 最終更新日:2018.09.11 16:00
公式戦100局を終えた時点で15敗。勝率は8割5分と驚異的で、先手番では9割を超える。これまで藤井聡太七段に黒星をつけた棋士が明かす天才の「急所」と「攻めどころ」とは。
2018年1月の王位戦、2017年11月の棋聖戦に勝利。現在、藤井からただ一人、2勝を挙げている棋士が大橋貴洸(四段)だ。
さぞかし、藤井キラーぶりを語るかと思いきや「藤井さんに弱点は見当たらない」と苦笑する。あえて攻め方を語ってもらうとーー。
「私のほうが長く将棋をやっているので、経験値は上回っているはず。公式戦ではあまり指されないような形を選ぶなど、経験値を生かす戦術を取れば、序盤を優位に進めることができて、勝機を見出せるかもしれませんね」
あくまでも控えめ。大橋の自信の裏返しかもしれないが、藤井戦の対局前に、特段の準備はしてこなかったという。
「現代の将棋は新しい手がどんどん出てきて、1年前とはまったく違った戦い方が求められます。流れが速い。藤井さんは、流行りの将棋をよく研究しています。私自身も対戦相手に応じた対策を取ることはあまりなく、新しい手のおさらいに時間を割いています」
じつは、2連勝する前には2連敗している。あの29連勝に貢献してしまった形だ。藤井の強さを振り返る。
「初対局では、優勢に指せていましたが、これでいけるんじゃないかと思ったところでうっかりが出てしまった。一手で一気にひっくり返されてしまったんです。藤井さんの、相手に決定打を与えない粘り強い指し回しで、ミスを誘われました。
藤井さんは未知の局面での対応力が高い。将棋には必ず自分が経験したことのない局面が訪れ、そこをうまく乗り切らないと勝率は上がりません。深く読む力が圧倒的なのはもちろん、直感力にも優れています」
とはいえ、四段昇段は藤井と同期。自身の目標を聞いた。
「まずは、タイトル獲得です。また、さまざまな場で将棋や棋士が貢献できる可能性を感じているので、私も新しい棋士像を模索しながら、体現していきたいと思っています」
おおはしたかひろ
1992年9月22日生まれ 和歌山県新宮市出身 2016年10月四段昇進、C級2組
(週刊FLASH 2018年9月4日号)