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藤井聡太を打ち破った男「増田康宏六段」が語る攻略法
ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2018.09.14 16:00 最終更新日:2018.09.14 16:00
公式戦100局を終えた時点で15敗。勝率は8割5分と驚異的で、先手番では9割を超える。これまで藤井聡太七段に黒星をつけた棋士が明かす天才の「急所」と「攻めどころ」とは。
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「東の天才」と呼ばれ、「西の天才」のライバル一番手に挙げられる増田康宏六段(20)。才能溢れる鋭い将棋同様、言葉も切れ味がいい。「今、いちばん強い棋士は藤井さんです」と断言する。
2017年、連勝新記録となる29戦めの相手となり、大注目のなかで藤井の強さを見せつけられた。「他人の成績には興味がない」と言う男が、この1年、藤井の将棋だけは見続けてきた。そして2018年6月、ついに雪辱を果たした。
「ほかの棋士との対戦で、事前に何か意識することはないですが、藤井戦は特別です。これまでの将棋を見てきて、時間がなくなってくる終盤ではミスも出ていた。時間がなくなり、疲れの出る終盤では誰でもミスが出ます。それは藤井さんも例外ではない。相手に時間を使わせることを意識して、自分はふだんよりテンポを早めて指しました」
作戦は成功。終盤まで時間を残した増田が完勝した。
藤井は持ち時間の長い将棋に強く、短いと勝率が下がるといわれているがーー。
「そうですね。持ち時間が短い将棋は直感勝負になるため、運に左右される部分が多くなります。それに藤井さんのように対局が多いと、長時間と短時間の将棋の両立も非常に大変です。とはいえ、朝日杯で優勝されていますし、早指しに苦手意識があるわけではないと思います」
手番に関しては、後手番での勝率のほうが実際に低い。
「攻め将棋の人は先手のほうがやりやすい。藤井さんは微妙な攻めでも自信を持ってやってくる。これは相手からすると嫌なもので、心理的な影響がある。逆に、藤井さんは自分が攻められている状況はあまり得意ではないと思います」
最後にこう締めくくった。
「“敵わない” という無意識の壁を破らなければ。私が勝ったことで、若手の藤井さんに対する意識が変わったと思います」
ますだやすひろ
1997年11月4日生まれ 東京都昭島市出身 2018年5月六段昇進、C級1組
(週刊FLASH 2018年9月4日号)