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再雇用も定年延長も当てにならない時代、目指すは59歳転職
ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2018.10.15 06:00 最終更新日:2018.10.15 06:00
■60超えてより60手前が有利
人手不足を背景に、転職市場は空前の活況を呈している。それは50代も同様だ。転職斡旋サービス大手のリクルートエージェントの採用データからもそれは明らかだ。
「実際に転職された方の推移を見ると、2009年度を1.00とすると2017年度は全年代で2.64倍。50代でも2017年度は1.83倍となっています。少し前までは『35歳転職限界説』が唱えられていましたが、35歳の壁は完全に崩れています」(リクルートキャリア編集長・藤井薫氏)
50代転職が売り手市場の理由を藤井氏はこう分析する。
「50代の人はなによりも経験がある。これが最大の武器です。企業間の生き残り競争が激しくなるなかで、年齢よりも実際に使えるスキルを企業は切実に求めているのです」
67歳で正社員として採用された事例もあるという。
「前職が電気通信関連だった方ですが、経験と人柄、持っている資格が評価されて、監視カメラの設置・メンテナンスのサービスを展開する企業に採用されました。この方は定年後再雇用で前の会社にいた方ですが、次に再雇用されるかどうかという話が出たときに、弊社に相談に来られたんです」(藤井編集長)
こういう事例を見れば、70歳現役も十分可能だということになるが、転職するなら60歳以降よりも50代のうちの転職が断然有利だ。実際、シニアの転職成功率は60歳以上よりも59歳以下がはるかに高い。
中高年の再就職事情に詳しいパソナマスターズの白石哲子副社長は、60歳直前の転職をすすめる。「59歳の逆転弾」転職だ。
「60歳以上の人は求人数が少ないうえに、競争率も高い。でも50代後半の求人は増えていますし、決まりやすいのです。再雇用をあてにせず、58〜59歳で転職する人も実際に増えています。60歳になってからの転職は、定年を迎えた求職者が殺到するので、その直前のほうが有利なのです」
転職できたとしても、給料が前職よりも下がることは覚悟したほうがいい。それよりも、70歳まで現役で働けるかどうかが重要だと、白石副社長は言う。
「再雇用で働いても、年収は大企業でも300万円程度です。しかも、65歳までの雇用しか保障してくれません。でも、転職して年収300万円だと月25万円ですが、65歳から70歳まで月25万円×12カ月×5年間働けるのです」