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防衛省も迎賓館も危ない!都内「隠れ断層」専門家が大警告

ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2018.11.06 06:00 最終更新日:2018.11.06 06:00

防衛省も迎賓館も危ない!都内「隠れ断層」専門家が大警告

隠れ断層を説明する豊蔵氏

 

 東京都心部には地下深くに潜む見えない断層、すなわち「隠れ断層」がある。

 

 活断層は全国に約2000カ所確認されているが、「隠れ断層」はその2倍、全国に4000以上あるというのが、地震学を専門とする武蔵野学院大学の島村英紀特任教授の推測だ。

 

「『隠れ断層』による地震は、地震が起きてからやっと地震断層だったとわかることのほうがはるかに多いんです。『隠れ断層』による内陸直下型地震には、今後も警戒が必要です」

 

 東京はどうなのか。

 

 

「東京都心の地層は、地下に厚い堆積物があり、さらに道路や建物で覆われていますから『隠れ断層』が多数存在する可能性があります。

 

 1855年に隅田川河口で大きな被害を出した安政大地震は1万人ほどの死者を出しましたが、これも『隠れ断層』が起こしたものです」

 

豊蔵氏の資料をもとに作成

 

 実際に「隠れ断層」の調査をおこなった、日本活断層学会元副会長の豊蔵勇氏はこう話す。

 

「JR田端駅近くから南下して、春日付近を通り、首都高を横断し、神楽坂を通って、外濠沿いに市ケ谷駅から四ツ谷駅付近に至る全長約7キロメートルの断層が存在すると推定されています」

 

 これが「飯田橋推定(隠れ)断層」だ。飯田橋駅には東西線、有楽町線、南北線、都営大江戸線の地下鉄4路線とJR中央線・総武線が集中する飯田橋駅があり、駅東口近くを首都高5号池袋線の高架が走る。

 

 海外からの賓客をもてなす迎賓館のある「赤坂御用地」も断層の周辺にある。

 

「土木施設や建築物の建設の際にボーリング調査をおこないますが、そのボーリングデータなどを分析した結果、都心部に8本の断層があると推測されたのです。

 

 地盤の悪い下町低地では銀座、浅草、築地、月島などを通るものです。他方、地盤の良い山手台地では飯田橋、九段、市ケ谷などを通るものでした」(豊蔵氏・ 以下同)

 

「飯田橋隠れ断層」の東側には「九段下隠れ断層」があり、九段から麻布十番方面に伸びると推定されている。付近には日本武道館、そして皇居。その先には国会議事堂もある。

 

 また、その西側には「市ケ谷隠れ断層」あるが、この断層の付近には東京五輪のメイン会場となる新国立競技場があり、さらには防衛省付近を通っている可能性もある。

 

豊蔵氏の資料をもとに作成

 

 東京都心部の地層は地表から地下深部に向かって古い地層が分布するが、古い方から20万年ほど前の「東京層」と呼んだ地層、その上には場所によって違いがあるが、約7万年から8万年前の「砂礫層」や「砂層」がのる。

 

 また、その上は厚い「関東ローム層」が覆っている。さらに道路やビルなどの建築物が地表をふさいでいる。地層の年代分析には地質学の手法を用い、まとめたのが上の図だ。

 

「都心部の地盤は、二重に柔らかい “布団” をかけているような状態となっているために、断層が発見されにくいのです。重要なことは、年代が古い地層ほど断層のずれの量が大きいと推定できたことです。

 

 また、たとえば地層が2メートル動くにはM(マグニチュード)7.0クラスのエネルギーが必要ですが、2メートル以上動いているので、過去にM7.0クラスの地震が繰り返されたことになります

 

 最新のずれの量から判断し、将来的にM7.0クラスの地震が起きうると考えられます。」(豊蔵氏、以下同)

 

「隠れ断層」を震源とする首都直下型地震が発生すれば、日本の中枢を揺るがす大惨事となる。それは阪神・淡路大震災の際の、神戸の惨状をはるかに超える都市型災害となるだろう。

 

 2018年6月、政府の地震調査委員会は、今後30年以内に震度6以上の地震が発生する確率を示した「全国地震動予測地図」を公表した。だが、これには「隠れ断層」についてはいっさいふれられてない。

 

「私たちの調査の後、都心部の断層調査はおこなわれていません。国は大至急、詳細な調査をすべきです」

 

(週刊FLASH 2018年10月2日号)

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