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【駅そば東西対決】旨みが命、いざ食べてみよ魂の「肉そば」
ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2018.11.23 11:00 最終更新日:2018.11.23 11:00
鉄道駅の構内外(駅から徒歩5分以内と定義)で、早く安く提供してくれる、「駅そば」。
近年、女性や高齢者の利用増加もあって、味やメニューが急速に進化している。さらに、地域に順応しながら進化することで、より「ご当地性」も深まっている。
肉系メニューは、関東では豚、関西では牛が中心になる。関東の肉そばは、バラ肉を使った、旨みが濃厚なものが多い。
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肉そばが名物の、椎名町駅にある南天は、ボリューム感が話題になることが多いのだが、旨みとサッパリ感が絶妙なバランスを取っている。
「肉はバラとモモを合わせています。バラ肉だけでボリューム感を出すと、脂の旨みが勝ちすぎてしまうんです」と話すのは、店主の湯浅清さん。
斜めにカットしたネギをたっぷり乗せるのも、食べ疲れさせないための工夫だ。シャキシャキ感と爽快感を前面に出すと同時に、コントラストが生まれ、肉の旨みがより強く感じられた。
【関東の名店データ】
●南天(西武池袋線 椎名町駅)
肉そばダブル(510円)
丼の上に築かれる豚肉の山を目当てに、朝から終電後まで客足が途絶えることはない。特注の太麺も、肉の旨みに負けない味わいだ
●弥生軒(JR我孫子駅)
唐揚(2ヶ)そば(540円)
「駅そばファンの聖地」とも。成人男性の拳以上のサイズの唐揚げは、回転が速いため、揚げたてに近い状態で食べられる
●東京グル麺(JR東京駅)
カツ煮そば(570円)
「カツ丼のアタマ」とつゆ、旨み同士が組み合わさる。そばとカツ丼、両方食べたい欲求を一杯で満たす看板メニュー
関西の肉そばは、細切れの牛肉が定番だが、ほかにも多くの部位が登場する。スジ肉とコンニャクを甘辛いタレで炒めてトッピングするのは、おもに神戸市周辺で提供される「ぼっかけそば」。
【関西の名店データ】
●南海そば(南海高野線 三国ヶ丘駅)
肉そば(390円)
牛肉の脂身と青ネギがよく合う。しみ出た旨みがつゆに浸透しているので、ついつゆを全部飲み干してしまう
●高速そば(神戸高速線 新開地駅)
ぼっかけそば(420円)
「ぼっかけ」は神戸市長田区の郷土料理。炒められ、食感を強めたコンニャクが、牛スジ肉に劣らぬ存在感を発揮していた
近鉄八尾駅にある、河内うどんの「牛もつそば」は、湯がいたホルモンをトッピングする、斬新な一杯だ。
【関西の名店データ】
●河内うどん(近鉄大阪線 近鉄八尾駅)
牛もつそば(600円)
コリコリとしたシマチョウを使用。ホルモン特有の臭みは味つけで覆うのではなく、青ネギの香りで包み込む
鶏肉はどちらでもよく見かけるが、関東では唐揚げ、関西では鶏天が優勢だ。「駅そば」の東西の違いはかくも深く、3000店を巡った今でも、丼の底は見えそうにないのである。
取材/文 鈴木弘毅
すずきひろき 1973年生まれ。少年期から一人で暖簾をくぐり続ける駅そばフリーク。近著は『駅そば 東西食べくらべ100』
※価格は2018年11月現在のもの
(週刊FLASH 2018年11月20日号)