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【目指せ不思議スポット】海から引き揚げられたUFOの残骸!?
ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2018.12.04 11:00 最終更新日:2018.12.04 11:00
■なぞの円盤
千葉県・房総半島の西南、東京湾に面してそそり立つ鋸山。鋸の歯を思わせるギザギザした稜線からこの名がついたとされ、標高330メートルと決して高い山ではないものの、室町時代から昭和まで続いた石切場の跡が独特の景観を生み出している。
この鋸山の麓に、今から500年以上も前に海底から引き揚げられた、謎の巨大円盤が祀られている。
■鋸山の地獄のぞき
円盤と聞けばすなわちUFOを想起してしまうのは、もはや人の性のようなもの。まして、それがかつて海の底で光り輝いていた物だというからフリークにはたまらない。さっそく謎の円盤を目指して、鋸山へ向かうことにした。
JR内房線の浜金谷駅を降り、鋸山を目指して10分ほど歩いていくと、住宅地の一角で小さな神社に出くわす。ロープウェイ乗り場はもう本当に目と鼻の先だから、ほとんどの人はまずその存在を気に留めることなく通り過ぎてしまうに違いない。
この金谷神社の社殿の小脇に、ギザギザの壁を伴う小さな社が設置されている。目的の円盤はその中だ。
ガラス戸越しに覗いてみると、なるほど、長い年月を刻んだと思しき、大きな物体が納められているのが見える。中央あたりで真っ二つに割れているが、確かに自然の造形とは思えないきれいな円形をしているのがわかる。ガラス越しでは材質がわかりにくいが、調査によって鉄製であることが確認されているという。
この円盤が引き揚げられたのは、1469年のこと。房総沖の海面の一部が不自然に光っているのを見つけた村人たちが、その正体を突き止めようと船で沖合へ出たところ、海底に奇妙な円盤が沈んでいるのがわかった。
しかし、直径1.6メートル、厚さ11センチ。重量はおよそ1.5トンもある巨大な円盤だから、引き揚げるのは容易ではない。
そこで村人たちは、鉱業や鍛冶など金属に関する技工を守護する神である、金山彦神を祀る金谷神社に祈願した。すると、7日間に渡って海が荒れた後、円盤が真っ二つに割れているのが確認されたという。
分割されたことにより、どうにか引き揚げられたこの円盤。鉄製でありながら腐食していなかったことから、いつしか村人たちの間で不老長寿を祈る信仰対象となり、「鉄尊様」の愛称がつけられたというのが大まかなあらましだ。
しかし、伝承は伝承。物体としてそこにある以上、これをしっかりと科学の目で精査した研究者は少なくない。
たとえば江戸時代の高名な国学者・平田篤胤は、この円盤についてヤマトタケルの遺物であるとの自説を主張している。ヤマトタケルが東国征討の際、浦賀沖から房総半島へ向かう途中で、船首についていた大きな鏡がはずれて落ちたというのだ。
確かに、この円盤の片面には、幅6センチほどの枠がついていた痕跡があり、巨大な鏡であったと捉えることに無理はないように思える。
ただし、製鉄技術としては当時のレベルに見合わないとの意見もある。何より、それほどの年月を海底で過ごしながら、ほとんど腐食がみられない理由は説明できない。
個人的にヤマトタケル(もしくはその時代の誰か)の遺物説は魅力的だが、どうにも決め手に欠ける印象なのだ。謎は深まるばかりである。
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以上、友清哲氏の新刊『消えた日本史の謎』(知恵の森文庫)から再構成しました。謎の構造物、おかしな物体、奇妙な伝承、未解明のパワースポット…不思議をめぐる旅の記録です。
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