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ライフ・マネーライフ・マネー

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なぜニッポンの野党に魅力がないのか、専門家はこう考えるライフ・マネー 2018.12.06

 

 マイケル・サンデル教授と交流が深く、NHK「ハーバード白熱教室」で解説を務めた千葉大学院の小林正弥教授が、なぜ日本の野党に魅力がないのかを考える。

 

 

 与党に問題が生じても政権の支持率があまり下がらない理由として、野党がダメだからだとしばしば指摘されています。

 

 

 民主党ないし民進党が情けなかったという面はもちろんあるでしょうが、そこには思想的な理念の問題も関連していると思います。与党に代わるべき政治思想が明確になっていないのではないか、ということです。

 

 アメリカやフランスのように、民主主義の先進国と言われた国でも、極右に近いような政権が生まれたり、そういう政党が支持を集めたりする状況になってきています。かつての日本人は、海外に政治の理想を求めていました。そのモデルが崩れてきているのです。

 

 民主党政権ができた段階では、リベラリズムや社会民主主義の思想にまだ勢いがありました。海外にも、アメリカでは民主党のクリントン政権とか、イギリスでは「第三の道」を主張する労働党のブレア政権のようにモデルになるような政権があったので、それらに倣って政治を改革しようという流れが各国で生じました。

 

 その影響もあって、当時の民主党に支持が集まり、2009年にアメリカで民主党・オバマ政権が誕生すると、その年に日本でも民主党への政権交代が起こったのです。

 

 ところが、今はアメリカやフランスですら民主政治が動揺していて、イギリスもEUから離脱を決めて混乱しているという状況なので、理想となるようなモデルが海外から消えてしまいました。

 

 民主党―民進党は、海外モデルに基づいて政治改革を主張した政党だったので、その魅力がなくなってしまったわけです。

 

 一方、日本の庶民や若い人にはナショナリズムの傾向が強くなり、護憲を主張する野党が保守的に見え、「自民党をぶっ壊す」(小泉純一郎)や「戦後レジームからの脱却」(安倍晋三)というキャッチフレーズのように、自民党の方が革新的に見えるため、今の政権を支持しがちです。

 

 もともと自民党の方が土着の思想に近く、海外経由の民主主義を野党が主張して対抗していたので、そのモデルを失うと野党にはなかなか人気が集まらないわけです。

 

 民主党政権では、リベラリズムやネオ・リベラリズムの思想に影響されて改革を主張している人たちが中軸にいました。菅直人元首相はリベラル寄りでしたし、野田佳彦前首相はネオ・リベラリズムに近かったと思います。

 

 リベラルの理念は今では色褪せてしまっていますし、ネオ・リベラリズムでは小泉政権以後の自民党との差が明確ではありませんから、人々を引き付ける力に乏しいのです。

 

 それでは、もっと左派的な思想がいいかというと、そう単純ではありません。安保法制の成立前後に共産党の支持が増えましたが、共産主義や社会主義のイデオロギーによって伸びたのではなく、他の野党が衰退した分、政権批判の勢力として期待を集めたのでしょう。

 

 共産主義思想そのものが期待されているわけではないから、伸びには限界があります。

 

 このように当時の野党やその理念は、牽引力や魅力を失ってしまっていました。野田政権の時の三党合意を考えてみれば、自民党・公明党と民主党―民進党との差がはっきりしなくなってしまいました。当初の民主党の理念には魅力があったのに、それがなくなってしまえば期待が集まらなくなるのは当然です。

 

 2017年10月、安倍政権が「国難突破解散」と言って突如総選挙を行い大勝しましたが、民進党が分裂して「希望の党」と「立憲民主党」に分かれ、希望の党が停滞したのに対し、立憲民主党は躍進しました。

 

 この政党は、立憲主義や民主主義という理念を明確に掲げており、安保法制や共謀罪法が立憲主義に反していて、議会政治がないがしろにされていることを批判しました。

 

 この政党がどうなるかは今後の問題ですが、明確な理念を持てば野党も支持を得られるということがこの選挙結果からも明らかでしょう。

 

 

 以上、小林正弥氏の近刊『武器になる思想~知の退行に抗う』(光文社新書)をもとに再構成しました。アメリカの政治哲学者マイケル・サンデルに倣った対話型講義を展開する学者とともに「人間として不可欠な知」を考えます。

 

●『武器になる思想』詳細はこちら

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