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どうする「実家の家じまい」親に確認しておくべき3カ条

ライフ・マネー 投稿日:2019.01.09 16:00FLASH編集部

どうする「実家の家じまい」親に確認しておくべき3カ条

 

 実家の相続で悩んでいる会社員の鈴木敬一さん(仮名・51歳)。父親は10年前に他界、母親はすでに80歳を超えて病気がちで、数年のうちには相続、となりそうな状況だ。

 

 実家は北陸地方の過疎地域で、売却は難しそう。鈴木さんはすでに東京にマンションを購入して家族と住んでおり、将来も故郷に戻るつもりはないのだが……。そんな悩みを持つ50代は多い。

 

 

 鈴木さんのようなケースで実家を相続した場合、必要になるのは、まずは固定資産税。そして住宅のメンテナンス費用。

 

 そして住宅のメンテナンス費用。放っておけば家はどんどん荒れていく。年に何回か庭の草むしりも必要だ。さらに実家に通う交通費。年間に数十万円以上のコストと時間、労力を空き家となった実家に費やさなければならないのだ。

 

 建物を撤去する手もあるが、その場合は固定資産税が約6倍にもなり、数百万円の撤去費用もかかってしまう。

 

「実家をたたみたいが、何から手をつけていいかわからない、という方は大勢いらっしゃいます。特に空き家問題がクローズアップされた5年ほど前から相談が増えています」というのはリーガルアクセス司法書士事務所(東京・渋谷区)の辻村潤氏だ。

 

 地方だからといって、最初から「売れない」とあきらめる必要はない。田舎暮らし志向の人は意外と多いのだ。

 

「田舎でも住宅地は近隣に売れるケースが意外とあるので、まずはお隣さんに声をかけるのが鉄則。

 

 また地元の不動産業者だけではなく、自治体が管理する『空き家バンク』や、地方移住希望者向けの情報誌、サイトもあるので、そちらも利用してみては」

 

 契約数が全国1位といわれるのが長野県佐久市の「空き家バンク」だ。

 

「数年前までは団塊世代の移住希望者が多かったのですが、最近は若い子育て世代が増えています」(佐久市移住交流推進課・工藤美幸氏)

 

 不動産の売り手と買い手を掲示板形式で直接マッチングする「家いちば」というサイトも人気だ。

 

「田舎の物件で多いのは名義の変更がずっとされていなかったり、隣との境界がはっきりしていないケース。これらをはっきりさせておくことが大事。

 

 親が元気なうちに『所有者』『境界』『価格』の3つを確認しておくと、相続後の不動産処分手続きも大幅に楽になるはずです。

 

 相続後すぐに更地にするのは待ったほうがいい。そのほうが売れそうな気がしますが、意外と古い家が好きで、手入れをしながら住みたい、という人も多いのです」(辻村氏)

 

 ただ、どうやっても売れない物件も存在する。その場合、不動産を自治体に引き取ってもらうこと、あるいは相続放棄は可能なのか。

 

「防災用広場になるなどの特殊な例を除き、自治体が引き受けることはほとんどありません。相続放棄は可能ですが、預貯金などもすべて放棄しなくてはいけません。

 

 自分が放棄して相続順位が移る親類には、あらかじめ連絡しておいたほうがいいでしょう。ただし、相続人が誰もいなくなっても、不動産の管理責任は残ります。

 

 家庭裁判所に相続財産管理人の選任申し立てをし、管理を引き継ぐのですが、予納金として数十万円から100万円程度納める場合もあります。相続放棄にもかなりのコストと労力が必要なのです」(辻村氏)

 

 相続放棄の期限は被相続人が亡くなってから3カ月以内。早めの決断が必要だ。

 

 冒頭の鈴木さん。実家は過疎地域とはいえ、新幹線の駅から車で10分程度。家は築30年だが、しっかりした造りで住むには問題ない。辻村氏らの話を聞いて、売却も十分可能と判断し、母親が動けるうちに相続後の準備を進めることにしたという。


【親が元気なうちに確認しておくべき3カ条】

(1)所有者

 実家が親の名義になっているとは限らない。登記を確認すべし。故人が所有者になっていれば、親の名義に変更を

(2)境界・測量

 敷地の境界が曖昧になっている例は多い。法務局で測量図を確認。境界が不確定の場合、親を交えてお隣さんと話し合いを

(3)価格

 売る場合の相場は知っておきたい。国土交通省の「土地総合情報システム」サイトでは実家周辺で取引された物件の価格がわかる。購入時の価格がわかる書類があれば探しておく

 

(週刊FLASH 2019年1月1、8、15日号)

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