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会ったことない遠縁との「争族」防ぐ「改正相続法」早わかり
ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2019.01.17 16:00 最終更新日:2019.01.17 16:00
2020年4月には改正相続法で「配偶者居住権」が新設される。配偶者がそれまで住んでいた家に住みつづけられる権利だ。
これまで、妻と子の遺産の取り分は、住居評価額を含んだうえで半分ずつに分配される仕組みだった。たとえば上の図のようなケースでは、奥さんの相続する預貯金は500万円のみで、生活費に不安があった。
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「配偶者居住権」施行後は、妻は自宅に住みつつ預貯金1500万円を相続できる。ただし、自宅の売却は不可だ。相続税に詳しい土屋裕昭税理士が語る。
「『配偶者居住権』は、基本的には配偶者優遇のための改正です。ただ、実際にこの権利が適用されるケースは少ないと思います。遺産分割で揉めるときは適用されるでしょう。折り合いの悪い後妻と前妻の子で遺産分割するようなケースです」
2015年の相続税制の大改正により、相続税対象者は急増した。ライフスタイルの変化もあり、相続法、相続税について最低限の知識は持っておくべきだという。
「これから相続を受ける世代は兄弟が少なく、そのぶん納税額は大きくなっています。独身者が多く、突然おじ、おばの相続をするというケースも増えるでしょう。
親族との関係性が希薄になりつつある今、ほとんど知らない相手と遺産分割するケースが増えるはずで、トラブルになる可能性も高くなります」
子供がいない夫婦は、遺言書を書いておくべきだという。
「夫が亡くなって、妻が全財産を相続するとは限りません。夫に兄弟がいれば法定相続人となるのですが、そこで揉め事になるケースが多い。
会ったこともない甥や姪が相続人ということもあります。トラブルを生まないためにも、遺言をきちんと残しておくべきです」
事前の対策で「争族」を回避すべし。
(週刊FLASH 2019年1月22日号)