携帯事業の「通信障害」だけじゃない! 抱える問題もさすが、グローバル。世界を席巻する勢いのソフトバンクグループ(SBG)だが、前途洋々とばかりはいかないようだ。躍進の陰に潜む、4つの爆弾的リスクを浮き彫りにする。
ひとつめは、SBGがおこなう投資に関するリスク。2018年10月15日、SBGの株価が急落した。その引き金となったのが、サウジアラビア人ジャーナリストの殺害事件だった。
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SBGの投資戦略の要となっているのは、投資ファンドの「ソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF)」。ここで運用される10兆円のうち、半額をサウジの政府系ファンド「パブリック・インベストメント・ファンド」が出資している。
ジャーナリスト殺害に関与した疑いがあるムハンマド皇太子と孫正義氏との、個人的な関係も取り沙汰された。
「疑惑を放置すれば、SBGの投資戦略自体に影響を与えかねない」(経済紙記者)
投資戦略により、英国のアーム(約3兆3000億円)、米国の携帯電話会社スプリント(約2兆円)など巨額買収を進めた結果、いまやSBGの有利子負債は約18兆円に。これが2つめのリスクだ。
「SBGが保有する株の時価総額は、約15兆円。負債のほうが多いのです。『保有する株によって、借金は担保されている』というのが孫さんの理屈です。
しかし、株価が暴落したらどうするのか。実際、欧米で景気が減速し、テクノロジー株は世界的にジリジリと下げています」(経済紙記者)
かつてソフトバンクで社長室長を務めた嶋聡氏も、「最大の懸念は有利子負債」と話す。
「SBGは米国での借り入れが多いですが、米国は金利の上昇が見込まれます」(嶋氏)
3つめのリスクは、米中関係悪化に関するものだ。2018年12月1日、中国のスマホメーカー「ファーウェイ」の孟晩舟・副会長兼CFOが米国の対イラン制裁違反の疑いでカナダ当局に逮捕された。
中国の先端技術を担う企業に、米国の捜査が及び、米中経済戦争への懸念が高まったため、日経平均株価もあおりを受けて暴落。
ソフトバンクはファーウェイの通信設備を導入していたため、同社の上場にも影響し、株価は公開価格の1500円を割り込んだ。逮捕を受け、ソフトバンクは通信設備の置き換えを検討している。
「政治的リスクまで先読みするのは難しいですが、今後も警戒が必要です」(経済紙記者)
最後のリスクは、後継者についてのもの。SBGの有価証券報告書には「事業等のリスク」として「孫正義に不測の事態が発生した場合、当社グループの事業展開に支障が生じる可能性があります」との記述がある。つまり、後継者の不在が最大の問題なのだ。
「孫さんは、若いころに自らが立てた『人生50年計画』の中で『60代で事業を引き継ぐ』と書いていますが、結局、引き継ぐ相手がいませんでした。
集団指導体制を進めるか、いまの20代~30代から孫さんのような人が出るのを待つか。結局、本人が80代まで頑張るかもしれない。『孫正義』の後継者探しはそれだけ難しいんです」(経済紙記者)
(週刊FLASH 2019年2月12日号)