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北海道「二度の大地震」で放置された爪痕
ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2019.02.28 16:00 最終更新日:2019.02.28 16:00
2月21日、震度6弱の地震が襲った北海道。2018年9月、震度7を記録し、36人が亡くなった厚真町はどうなっているのか。
「M5.8という地震は、大きな地震ではありません。これで震度6弱という揺れになったのは、地盤がそうとうに軟弱だということです」(立命館大学環太平洋文明研究センターの高橋学教授)
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現地に向かうと、新聞・テレビが報じない被災地の実情が見えてきた。仮設住宅で生活する住民は、安堵した表情でこう語る。
「この前の地震より揺れは小さかった。それより、一瞬停電したけれど、すぐに電気が通ってよかった。この時期に停電したら、暖房がつかなくなるからね」
町内の吉野地区。2018年の地震で大規模な土砂崩れが発生した場所は、倒壊した住宅が今も手つかずの状態で、無残な姿をさらしていた。土砂崩れの爪痕も、建物の下敷きになった車もそのままだ。
厚真町役場の関係者が、苦しい胸の内を明かした。
「前回の地震の被害が大きく、町の財政規模では災害復旧事業が賄えない。そのため国の補助金の申請をしています。今は、災害規模の査定をしているところでした。3月にはようやく片づけに取りかかれると思っていたところです」
前回の地震からまだ半年もたっていない。これから復興というときの再度の地震は、道民を不安に陥れた。2018年、道路が液状化し、家屋の倒壊が集中した札幌市清田区の住民はこう漏らす。
「取り壊された住宅もあるが、本格的な復旧は雪が解けた春にならないとできそうにない」
新たな地震の可能性について、「地震空白域」に注目する琉球大学の木村政昭名誉教授はこう警鐘を鳴らす。
「大きく2つあります。まずは今回の地震にも関係した『北海道東部沖』。今後もこの東部沖には注意が必要です。もうひとつは、『小笠原諸島沖』にある空白域です。伊豆・小笠原沖も、大地震に対する警戒が必要となります」
地震への備えを怠ることはできない。
写真・宮澤修一
(週刊FLASH 2019年3月12日号)