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【食堂のおばちゃんの人生相談】50歳・公務員のお悩み
「食堂のおばちゃん」として働きながら執筆活動をし、小説『月下上海』で松本清張賞を受賞した作家・山口恵以子。テレビでも活躍する山口先生が、世の迷える男性たちのお悩みに答える!
【お悩み/巌さん(50)公務員】
パソコンを使って20年以上になるが「ブラインドタッチ」ができない。打つスピードは速いので、不自由はしていないが、できる人たちからは「効率が悪い」「覚えればもっと速くなる」と言われる。覚えたほうがいいのか、よけいなお世話と割り切ったほうがいいか、どちらだろう。
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【山口先生のお答え】
そりゃ「余計なお世話」に決まってますよ! そもそもブラインドタッチとは「キーボードを速く打てるように」開発された方法です。それなら今現在、結構スピーディに打てる巌さんが、わざわざ時間を使って覚える必要なんかないはずです。
それに、50過ぎて何か新しいことを覚えるのは大変で、ストレスの元です。何の不自由もないのに新たなストレスを抱えるなんて、バカらしい限りです。そんなことを勧める職場の人たちも無責任だし、思いやりに欠けていると思います。
じつは私も、ブラインドタッチには苦い思い出があります。ワープロからパソコンに替えたとき、もらい物だったので、ひらがな打ちからローマ字打ちに変えねばならず、非常に苦労したのです。
当時宣伝していた「特打」というソフトを買って練習しようとしたら、間違えて上級者用を開いてしまい、全然出来ずに泣きました。
その後、友人が別の簡単なソフトを入れてくれて、多少は上達したのですが、私も巌さんと同じく、未だにブラインドタッチは出来ません。
それでも私の原稿の速さは業界でも有名で、エッセイの注文がメールで来ると、2時間後の返信メールには完成原稿を載せているほどです。だから、ブラインドタッチなんかくそ食らえですよ!
やまぐちえいこ
1958年、東京都生まれ。早稲田大学文学部卒。就職した宝飾会社が倒産し、派遣の仕事をしながら松竹シナリオ研究所基礎科修了。丸の内新聞事業協同組合(東京都・千代田区)の社員食堂に12年間勤務し、2014年に退職。2013年6月に『月下上海』が松本清張賞を受賞。最新刊『おばちゃん介護道』が発売中