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Tポイント提携先離脱で始まる「ポイント戦国時代」
ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2019.04.14 11:00 最終更新日:2019.04.14 11:00
コンビニで、ガソリンスタンドで、ネット通販で……使い勝手のいい共通ポイントとして人気のTポイントが、ピンチを迎えている。ポイントは、ポイントとして持っていても、なんの得もない。うまい利用法を知っておこう!
2019年1月、Tポイントを運営するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)が、利用者の会員情報やポイント履歴を、裁判所の令状なしで捜査機関に提供していたことが報じられた。提供されていた情報には、「TSUTAYA」で会員がレンタルしたDVDのタイトルや、レンタル期間まで含まれている。
これと前後して起きているのが、加盟企業の「Tポイント離れ」だ。三越伊勢丹グループは2018年3月末で、Tポイントの利用や付与を終了。ドトールコーヒーも、4月19日でTポイントとの連携プログラムを終了するとしている。
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極めつきは「Tポイントが貯まる、使える」の代名詞的存在だったファミリーマート。2月に発表したニュースリリースで、同社は7月にサービスを開始するスマホ決済アプリ「ファミペイ」について、秋からマルチポイント機能を取り入れるとしている。
マルチポイント機能とは、利用者が買い物の際、好みの共通ポイントを選択できる機能のこと。ファミリーマートの買い物に楽天スーパーポイントやdポイントが使えるようになれば、Tポイントの存在感はいっそう薄れるかもしれないのだ。
「加盟店のCCCに対する不満が、積もり積もった結果でしょう」
そう語るのは、共通ポイントに関する情報サイト「ポイ探」を運営する菊地崇仁氏だ。
「Tポイントは、2003年のサービス開始から『加盟店は一業種に一社』と決め、ほかの共通ポイントとの提携をNGとする独占契約を結ぶことで、加盟店を増やしてきました。
いくつもの業種にまたがって、共通のポイントを貯められるシステムは当時、画期的でした。瞬く間に世間に浸透し、2013年には(インターネットポータルサイトの)ヤフーと組んで、ネット通販へも手を広げましたが、それがかえって、現在の窮状を招いてしまったんです」(菊地氏・以下同)
2002年から、ネット通販の世界でいち早くポイントシステム「楽天スーパーポイント」を展開してきたのは楽天だ。楽天がTポイントのネット進出を黙って眺めているはずはなく、2014年にはリアル店舗でもポイント利用ができる「楽天ポイントカード」サービスを開始し、攻勢に転じた。
「同時に、Tポイントは携帯電話キャリアのソフトバンクとの連携を進め、ヤフーを含めた3大企業連合を結成しました。これを受けて動きだしたのが、NTTドコモです」
2015年、ドコモはそれまでの「ドコモポイント」を「dポイント」と改称。ドコモ内のサービスに使うことが中心だったポイントを、共通ポイントサービスに仕立て直し、加盟店と利用者を急増させた。
「Tポイントは現在、会員数約6800万人、加盟店数は約94万店。共通ポイントとして成功したといえますが、楽天とドコモから猛追を受けることになりました。そもそも、この2社は発行しているポイントの量が桁違いなんです」
楽天スーパーポイントでは、ポイントの倍づけキャンペーンが頻繁におこなわれている。またdポイントの場合、たとえばローソンでの支払いをdカード(ドコモ発行のクレジットカード)にするだけでポイントなどの還元率が5%になるなど、貯まりやすさがTポイント(基本は200円で1ポイント還元)の比ではない。ユーザーが、貯まりやすいポイントを選ぶのは自然の流れだ。
「共通ポイントは通常、加盟店がポイントの運営会社から『購入』して成り立っているのです。たとえば、ファミリーマートで200円の買い物をしたときにもらえるTポイント1ポイントは、ファミリーマートがCCCから購入したもの。加盟店が出し合ったポイントが、その輪の中を循環する仕組みになっています」
ところが楽天スーパーポイントの場合、加盟店が消費者へ付与する基本ポイントを楽天から購入するのは同じだが、倍づけされるポイントは、運営元である楽天が負担する場合もある。つまり、加盟店はより少ない自腹で、大きな集客力を得られるわけだ。
「ファミリーマートがマルチポイント機能導入を発表したことで、『それならうちも』と続く企業が現われるのは、火を見るよりも明らかです」
ここまで登場した3種類に、「Ponta」を加えた4大共通ポイントについて、最新の提携相関図を図にまとめた。これから始まるポイント戦国時代、ライフスタイルを考え、利用の参考にしてほしい。
(週刊FLASH 2019年4月23日号)