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吉田戦車、ぬか床はおかゆスプーンでかきまぜ「転用成功!」

ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2019.07.03 11:00 最終更新日:2019.07.03 11:00

吉田戦車、ぬか床はおかゆスプーンでかきまぜ「転用成功!」

 

 5月から、数年ぶりにぬか漬けを漬けはじめた。以前、一時期漬けていたのだが、ネコがうちに来たタイミングでやめた。ネコトイレの世話と、ぬかみそをかきまぜる作業とは、相容れない気がした。

 

 また漬ける気になったのは、タケノコ用に買った米ぬかを使い切りたかったからだ。血圧的に、気になるのは塩分だが、いい塩を使うことにした。

 

 

「ぬちまーす」。沖縄の海塩で、250グラムが1000円もする贅沢品である。パスタをゆでるためなどには絶対使えない。カリウムの含有量がずば抜けて多く、ある程度の塩分排出効果が期待できるというしろものだ。

 

 これと、リーズナブルな海塩を併用し、一応の高血圧対策とする。ぬか漬けは一見たいへんそうだが、要は「塩と水をまぜた米ぬかの中で、野菜に付着している乳酸菌など細菌類や酵母を培養する」ということである。

 

 買ってきた米ぬかに水と塩を入れる。塩の量はネットで調べてだいたいの量を入れたが、あとは自分で味をみて調整する。大根の茎と皮を漬け込んで、3、4日毎日かき回したら、それらはとりだして捨てる。

 

 この「捨て漬け」をもうしばらくやったほうがいいらしいのだが、私はこのへんでもうキュウリを漬けてしまう。まだあまりおいしくないし、塩味も妙にとがっているけど、塩抜きしたりして食べる。

 

 昆布や唐辛子など入れつつ、初期漬けを数日くりかえすと、どんどん酸味が出てきて「らしい」味になり、愛情も湧いてくる。

 

 容器は、プラスチックのふた付きの、丸いホーロー容器。キュウリ1本、無理して1本半ぐらいしか漬けられない大きさだが、3人家族が毎日漬けて食べるにはちょうどいいのだった。

 

 梅雨入りした現在の時点で、ちょっとすっぱすぎる感じになってきたので、粉辛子を入れたり塩を増やしたりして様子見。もっと暑くなったら冷蔵庫に避難させるかもしれないが、今のところ常温で。小さい容器なのでスプーンでかき回している。

 

 これは昔からで、初めてのぬか漬けの時、妻の伊藤に、「え、スプーン? ちゃんと漬かるの? まずそう」というようなことを言われた。

 

 手でかきまぜることによるなんらかの効果はあるのかもしれないが、素手で絶対さわらないようにしているわけでもなし、いいじゃんと、今日もスプーンで。

 

 金属製だとホーローが傷つきそうだな、と思って導入したのが、木製の「おかゆスプーン」である。天然木うるし塗装、税込み321円。横に木製のレンゲもあったが、やや厚い形状がかきまぜづらそうで、スリムなおかゆスプーンのほうがよさげに見えた。

 

 結果、大当たり。容器へのあたりがよく、実にまぜやすい。まるでぬかみそ用に作られたスプーンのようだ。おかゆスプーンがまさに「所を得た」わけであり、本来の用途じゃない目的の買いものが成功した時の(だいたい失敗する)うれしさを味わえた。


よしだせんしゃ
マンガ家 1963年生まれ 岩手県出身 「ビッグコミックオリジナル」で『出かけ親』を連載中。妻はマンガ家・伊藤理佐さん。本連載の単行本『ごめん買っちゃった』(光文社)、『出かけ親1』、『忍風! 肉とめし2』(ともに小学館)が発売中

 

(週刊FLASH 2019年7月9日号)

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