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配偶者を亡くすと、健康だった男ほど死亡率が高くなるライフ・マネー 2019.07.04

 

 俳優の津川雅彦さんが心不全で亡くなったのは、妻で俳優の朝丘雪路さんの死から99日後のことであった。ロックミュージシャンの内田裕也さんも、妻で俳優の樹木希林さんの死から約半年後に逝去された。両氏とも文字通り、妻のあとを追うように亡くなられたといえる。

 

 配偶者との死別が、死亡リスクを高めることは、これまでの数多くの研究で報告されている。

 

 

 今から400年近く前の1657年、ロンドンでの年間死亡者の死因を分類したヘバーデン博士の報告書では、死因の一つとして「悲嘆」が記載されていた。

 

 かつて悲嘆は死の原因の一つとみなされ、多くの医者が患者の症状として悲嘆を記述し、悲嘆は患者の気を狂わせると信じられていたという。

 

 近年の質の高いコホート研究においても、配偶者との死別に関していえば、配偶者を失った人は有配偶者と比較し、死亡率が増大することを確認しており、男性のほうが女性よりも死亡率の増大が大きく、65歳未満の若い年代や死別後6カ月未満の早い時期のほうが確率は高いとの結論が導かれている(Moon et al., 2011)。

 

 カリフォルニアの夫婦1万2522組を対象とした23年間の追跡調査の結果によると、死別から7~12カ月時点の死亡リスクは、配偶者が健在の人に比べ、もともと健康に問題があった男性で1.56倍、健康上の問題がほとんどなかった男性で2.12倍であった(Schaefer et al., 1995)。

 

 つまり、妻の生前にはいたって健康であった男性のほうが、妻を亡くしてから体調を崩し、死に至る危険性が高まることを示している。

 

 この研究では、2年以上が経過した時点においても、男女ともに死亡リスクは配偶者が健在の人より高いことが示されており、影響は長期に及ぶ可能性があることも指摘されている。

 

 死亡率の増大に関係する疾患の一つとして、心疾患が挙げられる。死別に関する研究や支援活動における世界的な第一人者である英国の精神科医コリン・M・パークスは、伴侶を亡くした男性を対象とした彼の初期の研究において、死別から6カ月以内での死亡率の増加を確認し、その主因となる疾患として心疾患、特に冠動脈血栓とその他の動脈硬化症を報告している。

 

 国立がん研究センターや大阪大学などによる、4万9788人を対象とした調査では、配偶者が健在な人に比べ、死別や離婚した人の脳卒中の発症リスクは、男女とも1.26倍高いことが報告されている(Honjo et al., 2016)。

 

 配偶者との死別や離別は、自殺につながる危険性も孕んでいる。妻を亡くした50代の男性は、次のように話している。

 

「妻が亡くなって1年くらいは気が沈んでばかりでした。このベランダから落ちたら死ねるかなって、ずっと思っていました。子どもがいなかったら私はもう死んでいると思います。この子を大きくするまではと思って……」

 

 平成30年版自殺対策白書では、配偶者との死別や離別を経験した人の自殺リスクが高いことが報告されている。人口10万人あたりの自殺者数である自殺死亡率は、60歳以上の男性でみると、有配偶者の場合には21.4人であるのに対して、死別者では51.0人と2倍以上高く、離別者では80.9人と4倍近くも高かった。

 

 60歳以上の女性の場合も、有配偶者では10.4人であるのに対して、死別者では16.2人、離別者では21.5人と、死別や離別に関連して自殺のリスクは高まるが、男性のほうがより顕著であるといえる。

 

 

 以上、坂口幸弘氏の新刊『喪失学~「ロス後」をどう生きるか?』(光文社新書)を元に再構成しました。家族、友人、ペット、健康、時間、夢や希望、そして自分の命――来るべき喪失にどう備えるかを考えます。

 

●『喪失学』詳細はこちら

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