【食堂のおばちゃんの人生相談】54歳・職業不詳のお悩み

「食堂のおばちゃん」として働きながら執筆活動をし、小説『月下上海』で松本清張賞を受賞した作家・山口恵以子。テレビでも活躍する山口先生が、世の迷える男性たちのお悩みに答える！

【お悩み／Kさん（54）職業不詳】

　先日、スーパーのレジで年配の女性が長時間小銭を探していて、長蛇の列が出来ているのにおかまいなしでした。こういう場面で湧き上がる、怒りやイライラを鎮めるには、どうしたらいいのでしょう。

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【山口先生のお答え】

　こういう経験、私も良くあります。ほんと、イライラするんですよねえ。モタモタして後ろに長～い行列を作ってしまう人って、何故かお爺さんよりお婆さんの方が多いと思いません？　スーパーのレジ然り、ATM然り、駅の切符売り場然り。

　最近はパスモですが、昔、駅で切符買わなきゃならなかった時代は、急いでいる時なんて、「何処まで行くの私が代わりに買ってあげる！」と叫びたかったです。

　そして行列と言えば女子トイレ。いまは “待合線” の前に、全員一列に並んで、個室が空いたら前から順に入れますが、昔は個室ごとに並んでいたので、列の進み具合にすごい差が出来たりしたもんです。どの列に並ぶかは、もう賭けでしたね。

　まあ、そんなわけで、行列でモタモタしてる人に対する怒りとイライラ、これは自然な感情で、仕方ないです。

　自衛策として、私はなるべくお婆さんの並んでいる列には並びません。必ず若い人より時間が掛かりますから。……とか何とか言ってたら、私も完全なお婆さんになってるじゃありませんか！

　Kさん、あなたもいずれお爺さんです。モタモタしてるお婆さんがいたら、可哀想に思ってあげてください。

やまぐちえいこ
1958年、東京都生まれ。早稲田大学文学部卒。就職した宝飾会社が倒産し、派遣の仕事をしながら松竹シナリオ研究所基礎科修了。丸の内新聞事業協同組合（東京都千代田区）の社員食堂に12年間勤務し、2014年に退職。2013年6月に『月下上海』が松本清張賞を受賞。『食堂メッシタ』『食堂のおばちゃん』シリーズ、そして最新刊『夜の塩』（徳間書店）が発売中