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実家では洗車も「吉田戦車」おっさん狙いの掃除用品を買う
ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2019.07.10 11:00 最終更新日:2019.07.10 11:00
このところ毎月のように帰省しているのは、親の生活をフォローするためなのだが、そのかなりの部分を「自動車を運転すること」が占めている。わざわざ高い新幹線代を払って、車に乗りに行っているような気持ちになることもある。
父は定年後に免許をとり、車に乗り始めた。最初から高齢者マークだったので、帰省の際、私が運転する機会は年々増えてきた。高速に乗る必要がある長距離運転などは、だいたいまかされた。
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震災後の三陸沿岸も、親とともに何度か回った。父は昔、沿岸部で教師をしていたのだ。東京ではめったに運転をしないので、おかげでペーパードライバーにならずにすんだともいえる。
父は昨年秋から闘病しており、すでに1年以上運転をしておらず、このまま免許の更新をしないまま、失効ということになるだろう。もよりの警察に自主返納に行く体力気力はもうない、ということなのだが、私が代理で行って「運転経歴証明書」をもらっといたほうがいいのかどうかは、考え中。
というわけで、親も、特に母が「ドライブ」に飢えているのだった。母は免許を持っていない。なので、せっせと帰っては、買いものや、親戚や友人づきあいのお出かけ要望に「はいはいはい」と応えている。
90歳、100歳まで、ほっといてもぜんぜん平気なくらい、両親が心身ともにピンピンしていてほしい、というのが私の身勝手すぎる本音だったが、なかなかそうはいかないのが現実だ。
というか、元気だったら自主返納などしなかった可能性もあり、いい機会だったのかもしれない。そんな感じで父の車は、とりあえず私と、宮城に住む妹の管轄となった。
最近、ようやく杖をついて車の後部座席に乗り込めるほどに復活(ずっと入院していて、もう帰宅をあきらめたこともあった)した父が、乗るときに窓を見て、「……汚ね」とつぶやいた。
ガソリンスタンドで窓を拭いてもらう程度だったので、窓もボディも埃にまみれていた。洗車もオレの仕事だなあ、と思い、別に実家のボロタオルで拭けばいいのに、ホームセンターに行ってみる。即買いしたのが、「洗車グローブ カエルの手」である。
同メーカーから「ゴリラの手」や「コアラの手」などという商品も出ており、私のような趣味のお父っつぁんたちが狙われている。「ホコリ取りモップ アルパカの首」といわれてもなぁ、とは思ったが。
カエルというよりは、マンガのブタのひづめのような形状。さっそく右手にはめ、バケツに水をためて洗い始める。特にひどい油汚れもなかったからか、マイクロファイバーの性能のおかげなのか、汚れは洗剤も使わずに簡単に落ちた。
ピカピカになった(気がする)車を見て、「あー、一人で県北とか沿岸とか県外に遠征して、通りすがりの古びたメシ屋に入ったりしたい……」というようなことを思った。
よしだせんしゃ
マンガ家 1963年生まれ 岩手県出身 「ビッグコミックオリジナル」で『出かけ親』を連載中。妻はマンガ家・伊藤理佐さん。本連載の単行本『ごめん買っちゃった』(光文社)、『出かけ親1』、『忍風! 肉とめし2』(ともに小学館)が好評発売中!
(週刊FLASH 2019年7月2日号)