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この人はいつも要領がよい…メールで評価を上げる鍵は「想像力」
ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2019.11.05 11:00 最終更新日:2019.11.05 11:00
メールは、見えない相手に、こちらの伝えたいことをとりあえず一方的に送る形になります。メールを受け取った相手が、何をしているか、どんな気持ちでいるか、わかりません。
そのとき、画面の向こうにいる相手のことを想像して、相手のための心づかいをできるかどうかで、メールの印象はずいぶん違ってきます。
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こんなことはありませんか?
あなたは、得意先A社が開催するイベントの広報をサポートしています。ある日、つきあいのあるB店でイベントのチラシを配布してもらえる話がまとまり、早速メールでA社の山本さんに伝えたのでした。山本さんもとても喜んでくれ、何部くらい送ってもよいか先方に部数を聞いてほしいと返信してきました。
あなたはB店と連絡をとりあい、1週間ほどして、山本さんに、
《500部は配布できるということです。お手数ですが、先日お伝えしたB店の住所宛にチラシをお送りください。》
と返信しました。
さて、こちらはA社の山本さんです。あなたとは別件でもメールのやりとりがあり、チラシのことは忘れそうになっていました。ちょうど出張に出かけようとしていたとき、あなたのメールが届きました。
「え? 送り先は前のメールに書いたって? どれかな。件名はずっと同じだし。おいおい。出張の前で時間ないのに……」
山本さんは、あなたの気の利かなさに少しイライラしています。
送り先の住所を書く手間を惜しんだ分、相手に負担がかかってしまいました。
何かをお願いするようなメールを書くときには、「これを読んだら相手は次に何をするか」、つまり画面の向こう側にまで想像力を働かせる必要があります。
この場合なら、山本さんはチラシを必要部数そろえて梱包し、伝票に住所を書いて発送するでしょう。ひょっとしたら誰かにその仕事を頼むかもしれません。とすれば、何を、いくつ、どこへ(住所+担当者名も)という情報を1通のメールの中にまとめて書いてあげたほうが助かります。
もっと言えば、送る部数を山本さんに言われてB店に聞いているのも間が抜けています。全部を1通で知らせることができれば、山本さんがメールを書く回数を1回減らせたかもしれません。
相手の手間を減らすことは、自分の手間を減らすことにもつながります。つまり、メールのラクワザです。そんなラクワザに長けている人は、周囲から「この人はいつも要領がよくて助かる」と思われる人なのです。
たとえば、こんな些細なことでもうれしいものです。
あなたは朝一番の出先での仕事を片付けて、その足で県庁でのプレゼンテーションに向かおうとしています。ふと、県庁からの通知文書をプリントアウトしてこなかったことに気がつきました。県庁は広いので、庁舎名と会議室名がないと迷ってしまいます。
「役所の通知はたいていパスワード付きの添付ファイルなんだよなあ」
スマホで添付ファイルを開けないかもしれないという不安を感じながらメールを検索すると、日時と会場の箇条書きがすぐに目に飛び込んできました。添付ファイルに記入されている内容の中から、日時・場所の情報のみがメール本文に書き出してあったのです。
しかも、エレベーターの場所についてもわかりやすい案内が書き添えてありました。役所仕事の制約がある中で、こちらの行動を予測して、不便のないようにメールを書いた担当者の親切さが感じられて、あなたはほっこりしたのでした。
ここまでの事例からも、「気持ちのいいメール」を書くためには、「画面の向こう側を想像する力」が必要であることがわかります。たとえば、画面の向こう側の相手を想像して考えるべきことには、こんなことがあります。
・相手はいつこのメールを開くか(メールで間に合うことなのか)。
・このメールを受け取ったら、相手は何をしようとするか。
・そのために相手に必要な情報はそろっているか(何を、いつ、どこで、誰に、誰が)。
・件名は検索しやすい言葉になっているか
・期限はあったほうがよいかどうか(多忙な人は仕事の優先順位が重要)。
・出先で対応することはないか(スマホで開けない添付ファイルをつけると困るかも)。
・相手がわかる言葉になっているか(略語、社内用語などに注意)。
・相手が上司にメールを転送しても、差し支えないの内容になっているか。会社のPCで開きたくない内容が含まれていないか(お酒の席で話したプライベートな話など)。
想像力を広げれば、もっといろんなことがあるはずです。
※
以上、中川路亜紀氏の近刊『あなたのメールは、なぜ相手を怒らせるのか?~仕事ができる人の文章術~』(光文社新書)をもとに再構成しました。過不足なく、端的に、ふさわしい表現で相手の心にピタリとはまるメールを書く秘訣を大公開。
●『あなたのメールは、なぜ相手を怒らせるのか?』詳細はこちら