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金賞メーカーに聞く「日本酒の極意」美味しさより好みで選べ
ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2019.11.11 16:00 最終更新日:2019.11.11 16:00
見渡す限りびっしりと会場を埋め尽くす日本酒の瓶。新緑まぶしい初夏の高原のような爽やかさすら感じられる。そこには、5月の「全国新酒鑑評会」で入賞した、約400種類の日本酒が一堂に集った――。
この夏池袋で開催された「日本酒フェア2019」。「公開きき酒会」では、各日本酒の前に設置されたスポイトで、自分のお猪口に好みの量を注いで、きき酒を楽しめる。ミスFLASH2019の山岸奈津美が潜入し、その甘美な味に酔いしれた。
全国の酒蔵がその技術と情熱を惜しみなく注いだ日本酒だけに、どれも絶品。ついつい飲みすぎてしまう。
「全国新酒鑑評会」の歴史で忘れてはならないのが、月桂冠株式会社だ。初めて開催された1911年には、1位を受賞(現在は順位づけはしていない)。その後も、1929年には1位~3位を独占した。2019年も出品した4蔵すべてが、3年連続で金賞を受賞している。
そんな輝かしい受賞歴を誇る、月桂冠の技術部長・山中洋祐氏に話を聞いた。
「明治42年(1909年)に研究所を新設し、酒造りに科学的な視点を、他社に先駆けて取り入れたんです。そこが大きな転換点になったんだと思います」
それ以降評価を高め、いまや誰もが知る日本酒メーカーとなった。ただし、「科学的なデータだけで酒造りはできない」と断言する。
「『数字は見るけど、数字に縛られない』と、心に留めています。やはり酒造りは、数字以上に表現が豊かなもの。各蔵の製造責任者はその点を理解しているので、高い評価をいただけているのではないでしょうか。
科学的なデータと伝統的な手法。その両輪を転がしているのも特徴のひとつです」
では、金賞受賞酒とは、どういったものなのだろうか。
「基本的には、1蔵につきタンク1本の酒しか出品しないので、量はかなり限られていて。そのぶん、酒の仕込みから瓶詰め、出荷に至るまで、手間を惜しまない。いわばF1レースの特別仕様車です。
だから、必ずしも『美味しさがいちばん』とも限らないわけで。料理との相性とか、個人の好みとかで自分が好きなお酒を見つけてほしいですね」
日本酒を造り続ける理由とは。そして目指すものとは。
「いちばんは、技術の研鑽。ここで培われた技術を、一般に流通するお酒に活用しています。やはり、より多くの人に『美味しい』と思っていただけるお酒を造ることが目標ですから。特に、若い方に親しんでもらえるような商品も開発しています」
ふだんからよく見かける月桂冠のお酒も、その裏側を知れば味わいが変わってくる。
モデル・ミスFLASH2019 山岸夏美
やまぎしなつみ
1994年生まれ 大阪府出身 A型 T163・B85(C)W64H88 ミスFLASH2019グランプリを受賞。そのほか最新情報は、公式Twitter(@0916_natsumi)にて
(増刊FLASH DIAMOND 2019年11月15日増刊号)