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【食堂のおばちゃんの人生相談】41歳・会社員のお悩み

ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2019.12.20 11:00 最終更新日:2019.12.20 11:00

 

「食堂のおばちゃん」として働きながら執筆活動をし、小説『月下上海』で松本清張賞を受賞した作家・山口恵以子。テレビでも活躍する山口先生が、世の迷える男性たちのお悩みに答える!

 

【お悩み/空手形さん(41)会社員】
 先日、長年の友人から「同僚2、3人を連れて、いまの会社から独立する。資金面は問題ないが、応援してほしい」と頼まれた。友人の勤める会社は有名なワンマン企業で、そこから独立して成功した例はない。友人は優秀で、取引先から「独立したらお宅に乗り換える」と確約されたという。

 

 しかし、契約書を交わしたわけではなく、口約束にすぎない。おまけにワンマン社長からは、子会社設立の提案をされたらしい。だが友人は「どうせ美味しいところだけ全部持っていかれる」と一蹴する。

 

 私には失敗の可能性の高い独立より、子会社の社長に就任したほうが得だと思えるのだが、独立を応援すべきなのだろうか。

 

 

【山口先生のお答え】
 私、正直言ってビジネスはわかりません。ただ、あなたのご友人がワンマン社長に対して、根深い不信感を抱いていることだけはわかります。

 

 どうしてそうなるかというと、多分、今までワンマン社長の下で良い目を見た部下がいないからだと思われます。「一将功成って万骨枯る」という故事成語がありますね。一人の将軍の勝利の陰には一万人もの兵卒の犠牲があるという意味です。

 

 同じように、きっとその会社では、成功の恩恵は社長が独占して、部下の苦労は報いられないのでしょう。子会社設立の提案をされた友人の「どうせ美味しいところだけ全部持っていかれる」という言葉に、ワンマン社長のこれまでの行状が現われています。

 

 ご友人も、よくよく考えた末の決断だと思います。そして、それほどまでに信用できない、そして大嫌いな社長の下で働くことに、もう精神が耐えられなくなっているのかも知れません。

 

 もうご友人の決断は覆りません。それなら応援してあげましょう。そして、失敗したときのセーフティーネットを広げる方法は何か、知恵を絞って考えてあげてください。


やまぐちえいこ
1958年、東京都生まれ。早稲田大学文学部卒。就職した宝飾会社が倒産し、派遣の仕事をしながら松竹シナリオ研究所基礎科修了。丸の内新聞事業協同組合(東京都千代田区)の社員食堂に12年間勤務し、2014年に退職。2013年6月に『月下上海』が松本清張賞を受賞。『食堂メッシタ』『食堂のおばちゃん』シリーズ、そして最新刊『夜の塩』(徳間書店)が発売中

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