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『江戸前の旬』原作者が語る「寿司の原点は中国の熟成ドジョウ」

ライフ・マネー 投稿日:2019.12.28 16:00FLASH編集部

『江戸前の旬』原作者が語る「寿司の原点は中国の熟成ドジョウ」

 

 にぎり寿司がいまのサイズ感になったのは、時を経て終戦後のこと。

 

「GHQから、『店や屋台で、生モノを売るのはよろしくない』と禁止令が出たので、職人たちが『委託加工販売』という方法を編み出した。客が寿司屋に生米を持っていって、加工してもらうスタイルだったんです。具体的には、持ち込まれた生米を店で炊いて、握り寿司にして客に返していた。

 

 当時、お米は貴重でした。持ち込まれるお米の量が、1軒あたり(配給の)台帳で決まっていて少なかったから、サイズが小さくなった。そのころのタネは、いまとほぼ同じものでした」

 

 流通が未発達だった江戸の寿司は、いまの熟成寿司の元である『熟れ(なれ)ずし』が主流だったが、戦後それも変わっていく。

 

「流通が進化してタネの鮮度がよいものを出せるようになってから、なるべく熟成させずに食べるようになった。それはおそらく、関西の料理人の影響だと思います。

 

 いまは出しているところもありますが、もともと大阪には『にぎり寿司で熟成』ってないんです。ただ、関西発祥でも、握りではない、『サバの棒寿司』は熟成です。一方、同じ関西発の『押し寿司』は型に入れて1日寝かすだけですから、熟成ではありません」

 

 ほかにも寿司には、大きな地域差がある。

 

「たとえば九州は、醤油が甘いですよね。なかには、甘味料の『サッカリン』が入っているものもある。かつて禁止された甘味料なんですが、なぜか再開されていて(笑)。

 

 じつは九州には、甘い醤油か、ふつうの濃い口醤油しかない。他の地域では、ふつうは『煮きり』という、醤油に昆布とかカツオで出汁をとったものを使うんですが、そういう文化がないようで。

 

 ただ、九州では寿司でも活きのいい魚を食べますから、それでいいんです。魚自体に甘みが少なくて、コリコリしているものが好まれるから、足りない甘みを醤油で補う。理にかなっています。

 

 じつは九州に限らず、海沿いの町は、そういう食べ方も多い。だから金沢(石川県)も、甘い醤油を使っています」

 

つくもしん
青森県出身 漫画原作者 作画担当のさとう輝先生とコンビで週刊漫画ゴラクで連載中『銀座「柳寿司」三代目 江戸前の旬』、スピンオフ作品の『寿司魂』『旬と大吾』『ウオバカ!!!』などを執筆。メディアへの出演は、連載20年で「ほとんどない」そう

 

(C)九十九森/さとう輝・日本文芸社

 

※『江戸前の旬』101巻が日本文芸社より2020年1月9日に発売
※『江戸前の旬』のドラマ化作品第2弾『江戸前の旬season2』第10話が、12月28日24時10分からBSテレ東、24時56分からテレビ大阪にて放送。配信は「ひかりTV」「ネットもテレ東」で

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