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費用はたった9800円「尿一滴」でガンの早期発見が可能に
ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2020.01.03 16:00 最終更新日:2020.01.03 16:00
日本人のガン検診の受診率は30~40%程度だという。受けたほうがいいのはわかっているが、大変そうだし、人間ドックだと費用も心配……。ところが今、一瞬で検査できて高精度、費用もわずかですむ最新技術が注目されている。
そんななか、「尿一滴でガンがわかる」と注目されているのが、「線虫」によるガン検査だ。
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長年、生物学者として、線虫の嗅覚研究をしてきた広津崇亮氏が、「ある条件下で、線虫がヒトの尿中から、ガンの匂いを嗅ぎ分ける」ことを発見。自ら創業した、HIROTSUバイオサイエンスで開発を続け、2020年1月から実用化されることになった。
「線虫は、1mmくらいの小さな生物で、とても嗅覚に優れています。ヒトの嗅覚受容体遺伝子は約400、犬が約800ですが、線虫は1200もあり、たくさんの匂いを嗅ぎ分ける能力を持っていると考えられています。
線虫は、機械で検知できないほど微かな匂いに反応し、ガン患者と健康な人を判別することができるのです」(HIROTSUバイオサイエンス広報担当者、以下同)
そして生み出されたのが、ガンの1次スクリーニング検査「N-NOSE(線虫の鼻)」だった。
「大学や病院とのこれまでの臨床研究では、86.8%の精度であることが確かめられています。ステージ0や1の早期ガンでも、同等の精度なので、この点が従来の検査にはない、大きな特長だと思います」
提携医療機関などを通して検査を受けると、およそ2週間後に結果が出る見込み。一度の検査で、15種類のガンについて、罹患しているかどうかが調べられる。
線虫は、1匹が約300個の卵を産み、大腸菌で繁殖するため、飼育コストは安価。利用者の負担は9800円と、手軽な費用になる予定だ。
「血液一滴でも、体に針を刺すことに抵抗を感じる方はいると思います。『N-NOSE』は尿を使うだけなので、負担なく受けていただけるのがいちばんのメリットです」
以下では、「尿一滴で受けられるガン検査」を紹介する。
【「尿一滴」で受けられるガン検査】
《ガン由来の物質を直接検査する》
●DNA検査
・費用:約45万~95万円
・開発者:多数
・検査の方法&特徴:
DNA中には約300種類の遺伝子があり、そこからガン関連遺伝子を調べる検査が多くの企業でおこなわれているが、開発から20数年を経ても、明確な遺伝子情報は抽出されていない。
《ガン由来の代謝物を検査する》
●N-NOSE
・費用:約1万円
・開発者:HIROTSUバイオサイエンス
・検査の方法&特徴:
線虫には、ガン患者の尿に集まり、健康な人の尿から逃げる性質がある。この性質を利用して線虫に尿の匂いを嗅がせ、ガンの有無を調べる。2020年1月に実用化が決まっている。
写真提供・株式会社HIROTSUバイオサイエンス
(週刊FLASH 2019年12月24日号)