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『真田丸』で再注目「忍者」の情報が幕末の外交交渉にも役立った!

ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2016.06.25 17:30 最終更新日:2016.06.25 17:30

『真田丸』で再注目「忍者」の情報が幕末の外交交渉にも役立った!

写真:中西祐介/アフロ

 

『真田丸』に登場する出浦昌相(いでうらまさすけ)は真田家に仕えた実在の武将で、甲州忍者の首領と伝えられる人物。真田十勇士の霧隠才蔵のモデルという説がある。ドラマでは佐助(藤井隆)が出浦に弟子入りし、「火遁(かとん)の術」などの忍術を授けられるシーンが描かれた。

 

 猿飛佐助や霧隠才蔵といった「真田十勇士」は、明治、大正期に刊行された立川文庫によって創作された架空のヒーローだが、忍者は実在し、今日まで重要な役割を果たしてきた。忍者の歴史に詳しい三重大学教授の山田雄司氏が語る。

 

「真田だけでなく、戦国時代の大名はそれぞれ忍び(忍者)を召し抱えていました。彼らの重要な役割は、敵国に侵入し、情報を収集すること。情報の重要性は当時もいまも変わりません。 歴史の裏側では、忍びたちがこの国の歴史に大きな影響を与えてきたのです」

 

『真田丸』でも、昌幸(草刈正雄)はことあるごとに佐助に敵の状況を探らせ、策を練る。可能なかぎり情報を得て、的確な判断を下すことは戦国の世を生き延びるために不可欠だったのだ。

 

 忍者といえば、暗闇を疾走し、手裏剣を放ち、高い塀を軽々と乗り越え、ドロンと姿を消す……そんな超人的能力を備えたイメージがあるが、実際のところはどうだったのか。

 

「多くの方が持っているイメージはかなりデフォルメされたものだと思いますが、修業を重ねて忍術を習得することで、常人には不可能な能力を身につけることができます」

 

 そう語るのは「武蔵一族」組頭の習志野青龍窟氏。武蔵一族は徳川幕府に仕え、隠密組織を束ねた柴田家の門外不出の伝統を受け継ぐ忍術集団である。

 

 幕末に外国奉行(現代の外務大臣にあたる)として活躍した柴田剛中は、配下の忍びを使ってさまざまな情報を入手し、外国との交渉に役立てたという。習志野氏はその流れを汲み修業を積む“現代の忍者”だ。 「たとえば」と言いながら習志野氏が腕を回すと肩の関節を外してしまった。

 

「縄で縛られてもこれで抜けることができます。ほかにも修業すればさまざまなことができるようになります」  

 

 手裏剣、まきびし、吹き矢といった道具も実際に用いられていたという。

 

「ただし、忍者にとっていちばん重要なのは生き延びること。危機を切り抜け、生きて情報を持ち帰ることがなにより大事なこと。相手を傷つけるためでなく、逃げるために手裏剣を打ち、 まきびしを撒くわけです」

 

 佐助が伝授された「火遁の術」も攻撃手段ではない。「遁」の字が示すように、火や煙で相手をまき、闘いの場から逃げるための術だ。

 

 忍者は裏舞台で日本の歴史を動かし、現在も活動を続けている。習志野氏によれば、本格的に修業を続けている忍者は今も数十人いるという。

 

(週刊FLASH 2016年6月14日号)

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