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『江戸前の旬』原作者が語る「マダコは“栗の香り”が楽しい」

ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2020.02.10 16:00 最終更新日:2020.02.10 16:00

『江戸前の旬』原作者が語る「マダコは“栗の香り”が楽しい」

 

 マンガ雑誌『週刊漫画ゴラク』(日本文芸社)で、1999年から今も連載が続く、“老舗” の寿司漫画『江戸前の旬』。寿司の具である “タネ” のエピソードを中心に、すでに100巻が発売されている。原作者の九十九森先生が、「寿司ウンチク」を存分に語ってくれた。

 

 

「ゆでたてのマダコの香りは、最高です。国産のマダコは、毛ガニと同じく、ゆでると栗の香りがする。もちろん産地によりますが、とくに佐島(神奈川)や明石(兵庫)のものがいいですね。一方、日本でよく使われる南アフリカの冷凍の輸入ものは、香りがまったくしないんですよ。

 

 

 マダコは、昔は『冬がいい』っていわれていたんですよ。春に産卵するから、『夏は身が痩せてる』ってみんな思っているんですが、佐島の夏ダコが冬と同じくらい美味しいことがわかった。銀座の『太一』の親方から教えてもらいました。実際、大阪では夏も食べられています」

 

 じつはマダコは、高級ダネのひとつだ。

 

「私は東北出身で、『酢ダコ』に馴染みが強く、いまでも大好きで。一度、とある寿司店でマダコで酢ダコを作ってもらったことがあります。めちゃめちゃ美味しかったのですが、作ってくれた親方から『3カ月たっても腐らないんですよね……』と連絡があって。『おいおい、まさか客に出してないだろうな』と(笑)。

 

 それは冗談として、マダコってそれぐらい高いんですよ。評価の高い産地の “ブランドもの” だと、1杯1万円ぐらいはする。ただ、確実にその価値があるタネなんです」

 

 九十九先生は、好きなものはとことん追求してきた。

 

「漫画に描いている寿司ダネは、だいたい実際に作って食べてみています。一度、酢ダコはなぜ、握りに合わないと言われるんだろうと思い立って、試してみたことがあります。

 

 回転寿司やスーパーには『酢ダコ寿司』が多いんですが、どれを食べても確かに合わない。それで、買ってきて家で酢ダコを剥がして、ショウガなんかを乗せてみるんですよ。

 

『これは合う、これは合わない』というのを繰り返したら、カラシがよく合うことにたどりついて、嬉しかった。『江戸前の旬』は、私の試行錯誤の歴史でもあるんです(笑)」


つくもしん
青森県出身 漫画原作者 作画担当のさとう輝先生とコンビで週刊漫画ゴラクで連載中『銀座「柳寿司」三代目 江戸前の旬』、スピンオフ作品の『寿司魂』『旬と大吾』『ウオバカ!!!』などを執筆。メディアへの出演は、連載20年で「ほとんどない」そう

 

(C)九十九森/さとう輝・日本文芸社

 

※『江戸前の旬DELUX』1巻が、日本文芸社より発売中
※ドラマ『江戸前の旬season2』(BSテレ東)のDVDBOXが、「テレ東本舗。WEB」で予約可

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