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いったいどうなる「5G革命」危険な作業は遠隔操作のロボットに
ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2020.03.16 06:00 最終更新日:2020.03.16 06:00
2020年3月から、いよいよ一部で商用サービスが始まる「5G」(第5世代移動通信システム)。「高速・大容量」「超低遅延」「多数端末接続」が特徴で、現行の「4G」と比べて、速度は10倍、遅延は10分の1、接続可能な機器は30~40倍になる。
5Gの通信システムは、建設業界における仕事のあり方を、大きく変える可能性を秘めている。地震や台風など、災害を被った地域の復旧作業には危険がつきものだが、重機を自在に遠隔操作できれば、人手不足や、工事現場での “二次災害” に巻き込まれるリスクなどが解決する。
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現在、NTTドコモはコマツ、KDDIは大林組、ソフトバンクは大成建設と手を組み、さまざまな実証実験をおこなっている。
「技術的には、すぐにでも実現可能です。油圧ショベルなどの建設機械を遠隔操作する仕組みは、すでに開発されています。工事現場に5G基地局を設置して、油圧ショベルに通信機器と複数のセンサー、4Kカメラを装備すれば、ネットワークを経由して、オペレーターが遠隔で操作できます。
オペレーターは、4Kの高精細な映像を見るだけでなく、センサーが感じた振動もリアルに把握できるので、まるで実際に重機に乗っている感覚になります。東京にいるオペレーターが、『午前中は北海道の現場、午後は沖縄』というような作業が可能になるわけです」(スマホジャーナリスト・石川温さん、以下同)
これまでも、東日本大震災や熊本地震で、重機の「遠隔操作」はおこなわれていた。しかし、これらはWi-Fiを使った通信だったため、速度も映像の質も十分ではなかった。5G通信によって、これらの課題がクリアされる
「超高画質での送受信が可能なので、『ドローンを使って、老朽化した橋やトンネルを調査する』といったこともできます。これまで目視でやらなければいけなかったことが、4Kカメラ搭載のドローンと5G通信を組み合わせることで、現場に行かなくてもよくなるのです。
課題は、5G環境の整備。工事現場に基地局を立て、そこまで光回線を引かなければいけませんし、使用する機器のメンテナンスも必要です」
遠隔操作で動くロボットの開発が進めば、工場などの無人化も加速していく。革新をもたらす5Gビジネスのなかで、実用化がもっとも近いと期待されている。
いしかわつつむ
スマホジャーナリスト。携帯電話を中心に国内外のモバイル業界を取材し、一般誌や専門誌、女性誌などで幅広く執筆。近著『未来IT図解 これからの5Gビジネス』(MdN)が発売中
(週刊FLASH 2020年3月17日号)