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就職・転職のWEBテスト、替え玉受験したらどうなるのか?

ライフ・マネー 投稿日:2020.04.02 11:00FLASH編集部

就職・転職のWEBテスト、替え玉受験したらどうなるのか?

 

――「SPI系試験」というのは、どういう試験なんでしょうか?

 

就職アドバイザー 「SPI」というのは「Synthetic Personality Inventory(総合適性検査)」の略称で、リクルートグループが提供する採用試験のことです。

 

 

 高度成長時代の1973年、日本最初の総合適性検査として「SPI」が開発されました。2002年に「SPI2」にバージョン・アップして、現在使用されているのは2012年に開発された「SPI3」です。

 

 リクルートキャリア社の「2018年度採用実績」によれば、年間1万3200社が採用し、202万人が受験したということで、日本全国で最も多く採用されている就職試験といえます。

 

――「総合適性検査」ということは、いろいろな種類のテストが組み合わされているわけですね。

 

就職アドバイザー 一般に「SPI3」のペーパーテストは、問題冊子とマークシート解答用紙のセットで、「言語」(40問・30分)・「非言語」(30問・40分)・「性格」(300問・40分)の3つのパートに分かれています。さらにオプションとして「英語」と「構造的把握力」のテストを企業が加えることもできるようになっています。

 

――ほかにもあるんですか?

 

「玉手箱」は、日本SHL社が開発した自宅受験型の総合職適性テストで、WEBテストだけのシェアとしてみれば、日本で最も多く用いられています。

 

「言語」(74問・37分)・「計数」(99問・44分)・「英語」(48問・20分)・「性格」(68問・20分)・「意欲」(36問・15分)の5つのパートに分かれていて、こちらは「SPI」とはかなり趣向の異なる問題が出題されていますから、対策を別に立てる必要があります。

 

――自宅受験型というのは、自宅のパソコンで受けるわけだから、誰が受けたかなんてわからないですよね。

 

就職アドバイザー 成績優秀な友達や兄弟姉妹がいたら、WEBテストを代わりに受けてもらいたくなりますよね。それに、ネットで検索すればいくらでも出てきますが、「東大生・京大生が代わりに受験します」とか「WEBテストのプロ家庭教師が受験します」といった「代理サービス業者」が存在することも事実です。

 

 ハッキリ申し上げましょう! もし代理受験してもらったとしても、その段階で即座にバレることはないでしょうし、そのまま隠し通して、一流企業に就職できた就活生がいることも事実です。

 

 しかし、この方法はリスクが高すぎるので、私からはお勧めできません。

 

――そのリスクというのは、企業側にバレるということですか?

 

就職アドバイザー そのとおりです。最近のWEBテストは非常に巧妙に作成されていますから、たとえば大学の偏差値レベルに対してテストの得点が高すぎたり、解答に要する時間が短すぎたりすれば、その相違について企業から疑念を抱かれます。その点を面接で追及される危険性も高くなるでしょう。

 

――たしかに、WEBテストで正解したはずの問題を面接で質問されて答えられなかったら、その時点でアウトですよね。

 

就職アドバイザー その程度では済まないかもしれません。ペーパーテストで「替え玉受験」を行えば、自分の解答を偽名で提出することから、法律上は「私文書偽造罪」に問われます。WEBテストは署名していないので「私文書偽造罪」には相当しませんが、「電磁的記録不正作出罪」に問われる可能性があります。

 

 実は、WEBテスト運営会社の担当者から聞いたことがあるのですが、ある一流企業から、就職した社員について問い合わせがあったそうです。

 

――すでに就職した社員ということですか?

 

就職アドバイザー そうです。その社員の入社後の勤務評価や人物像が、入社時のWEBテストの評価とあまりにも違っているので、その理由を問われたわけです。

 

 運営会社の担当者は、統計的にそのような可能性は非常に低いこと、つまり、別人がWEBテストを受けた可能性が非常に高いことを示唆したそうです。

 

――その社員に同じレベルのWEBテストを受けさせて、入社時のテストの点数と比較すれば、替え玉受験を行ったかどうか、簡単にわかりますね。

 

 もし「不正入社」が発覚すれば、最悪の場合は「懲戒解雇」の可能性も考えられますね。もしかしたら、会社の人事採用システムの信頼性に損害を与えたという意味で「損害賠償請求」されるかもしれない。たしかに、リスクが高すぎる!

 

就職アドバイザー 多くの企業は、どちらかというと採用試験を「足きり」に使っています。つまり、一定以上の点数に達しない人を落とすためのものですから、その程度の点数はクリアできるように自分で対策しておけばいいのです。

 

 しかも、WEBテストを重視する会社であればあるほど、不正を行えば会社を騙した悪質性が高くなりますから、より懲罰も厳しくなるでしょう。ですから「就職採用試験」は、自分の力で正々堂々と受けるべきなのです。

 

 

 以上、高橋昌一郎氏の新刊『自己分析論』(光文社新書)をもとに再構成しました。就活・人間関係・人生の悩みに立ち向かうため、心理学・哲学を横断し、ディベート形式で「自分」に迫ります。

 

●『自己分析論』詳細はこちら

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