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半世紀ぶりに7000人超…辛坊治郎が警告「梅毒患者が激増中!」

ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2020.04.05 11:00 最終更新日:2020.04.05 11:00

半世紀ぶりに7000人超…辛坊治郎が警告「梅毒患者が激増中!」

 

 日本で、そして世界で、特殊な形で性病が激増しています。皆さん、注意してください。

 

 たとえば、いまイギリスで、中高年の間にHIVが急速に広まっているそうです。イギリスをはじめ、日本を除く先進各国では、HIVの恐怖や予防の知識などが広まったために、病気蔓延の勢いは収束しつつあるのに、です。

 

 

 なにせ、私の知り合いの若い日本人女性がイギリスで彼氏が出来たとき、つき合いはじめる前に、2人でHIVの検査に行ったくらいですからね。これって、けっして特別なケースじゃなくて、欧米ではSEXする前に、お互いに安全を確かめるってのが、ある種の常識になっているんだそうです。

 

 また、そこまでしなくても、相手に一定のリスクがある場合を考えて、コンドームをするのは常識です。それなのにイギリスの、それも中高年でHIV感染者がなぜ増えはじめているのか?

 

 そもそも、性行動は若い人のほうが活発ですから、中高年で増えるっておかしいですよね。イギリスで専門家が調査したところ、原因が判明しました。それは、中高年になって女性が閉経して、妊娠の可能性がなくなった場合、避妊具、特にコンドームを使うカップルが激減するかららしいです。

 

 なおかつ、この世代の人々は「妊娠しないから大丈夫」というわけで、けっこう頻繁にパートナーを変えて性行動するそうで、それがHIV感染者が、この世代だけ突出して増えている理由なんだそうです。

 

 じつに興味深い話ですが、これって日本でも他人事じゃないですよね。人間、国が違っても考えることなんてほとんど同じですから、日本の中高年のカップルにも同じような現象が起きている可能性があります。今のところ、はっきりと統計に表われていないだけで、ある日イギリスと同じように、日本でも中高年の間で性病が、突然広がりはじめるかもしれません。皆さん、気をつけましょうね。

 

 そして、日本で困ったことになりつつあるのが、若い女性の間に、梅毒が急速に広まっていることです。梅毒なんて、たぶん若い人は聞いたことすらない病気でしょう。だって少し前まで、医者の間ですら「幽霊病」なんていわれていて、医学の教科書くらいでしか目にしない病気だったんです。

 

 この病気、もともとヨーロッパにあったという説と、アメリカの風土病だったものを、コロンブスの探検隊がヨーロッパに持ち帰ったという両説ありますが、一般的には後者を信じる人が多いです。日本でも江戸時代には国中に広がり、ほかの性病とあわせて、「花柳病」なんていわれるようになりました。

 

 となるとたぶん、室町時代より前の日本には、HIVも梅毒も存在しなかったわけで、源氏物語などを読んでもわかりますが、昔の日本人が性的におおらかだったのは、たぶん性病の恐怖が、今よりずっと少なかったからかもしれません。

 

 江戸時代以降、梅毒は日本で猖獗を極めるようになります。え? 猖獗を極める、わかりませんか? ひと昔前は病気などがはびこって、世の中がパニックを起こすような状況になると、必ずこの表現が使われましたが、最近見かけませんね。こんな表現を使うような病気が減ってきているのかもしれません。

 

 でも、梅毒に治療方法がなかった第2次大戦前は、この病気に罹るとじわじわと何十年もかかって全身症状が出はじめ、最後は死に至る恐ろしい「不治の病」として、「猖獗を極める」ような状況だったんです。

 

 戦後、抗生物質が開発されたおかげで治療できる病気になりましたが、それでも1967年に、1万1000件もの罹患報告があったそうです。1960年代、私が小学生くらいのときに縁日に行くと、明らかに梅毒第3期で鼻の先が欠けてしまった高齢女性が、露天商の手伝いとかをしていました。たぶん「不治の病」だった時代に梅毒が進行した人だったんでしょう。

 

 梅毒は性器や口などから、トレポネーマ・パリダムと呼ばれる細菌に感染することで発症します。まず感染後、数週間から3カ月以内に感染箇所や脚のつけ根のリンパ節などに、コリコリした隆起、潰瘍、腫れなどが生じます。いずれも痛みがないのが特徴で、自然に治ってしまいますから、このタイミングでは気がつかないケースが多いようです。これが第1期です。

 

 第2期は、感染後3カ月から3年で、手のひらや足の裏などに、バラのような赤い発疹が現われます。これは細菌が全身に広がるために生じる症状で、このタイミングで血液検査などで診断を確定して治療しないと、第3期に移行していきます。治療は診断さえつけば、抗生物質で比較的簡単です。

 

 感染後、3年から10年で皮膚や筋肉、骨などにゴムのような硬さの腫瘍が出来ます。さっき書いた「鼻の先が欠ける」なんてことが起きはじめるのはこの時期で、これが梅毒第3期症状です。

 

 以上のような症状が出ているのに、それを放置すると第4期に入ってしまいます。感染10年後以降、脳など中枢神経が細菌に侵されて全身に影響が及び、場合によったら死に至ります。怖いですよね。

 

 もうひとつ恐ろしいのは、この病気が母子感染する点です。梅毒に罹っている母親から胎児に感染した場合、「先天梅毒」になり、髄膜炎、水頭症、難聴など、さまざまな障害を持って赤ちゃんが生まれてくることがあります。

 

 また、かなりの確率で死産するか、生後間もなく命を落とすことになります。親の責任として、これは絶対に避けなくちゃいけないんですが、残念ながら、近年日本で先天梅毒が激増しているんです。

 

 2010年に、わずか1件しかなかった先天梅毒の報告が、2018年は15件を超えました。背景にあるのは、若い女性への感染拡大です。日本における感染者の拡大は2011年ごろからで、2010年に1000人を下回っていたのに、2018年ついに7000人を超えてしまいました。すさまじい勢いで、患者が増えているのがわかりますよね。

 

 7000人規模になるのはじつに48年ぶりで、そのうち女性が2413人です。全体では、まだ男性患者のほうが多いですが、10代と20代に限ると、女性の患者のほうが多いんです。

 

 この世代の女性に感染が広がると、梅毒の知識がないうえに、妊娠の可能性も高いですから、治療せずに胎児が先天梅毒に罹って生まれてくるリスクが、ものすごく上がります。

 

 なぜ、こんなことが起きているのか? 私は3つほど原因があると思います。まずSNSの普及で見知らぬ男女が関係を持つのが、昔に比べてずっと簡単になっていることです。

 

 もうひとつは、インバウンド客が日本の性風俗店を使うことで、海外から病気が持ち込まれている可能性です。最近、風俗店のHPを覗くと、英語と中国語での案内が目につきます。コンドームを使用しても口からの感染など、リスクは相当に高まっていると考えるべきです。

 

 そして私、これが決定的な理由だと思うんですが、1980年代にHIVが日本で大きく報道されはじめたときには、みんな感染を防ごうと一斉にコンドームを使いはじめたんです。ところがHIV自体がほぼ「不治の病」でなくなり、警戒心が薄れると同時に知らない者同士の性交渉で、コンドームを使う人が減ってるんじゃないでしょうか。

 

 読者の皆さんは大丈夫だと思いますが、今日本で、ほとんどなくなったと思われていた性病が、ものすごい勢いで復活しつつあるっていう認識は持っておいたほうがいいですよ。

 

 

 以上、辛坊治郎氏の新刊『日本再生への羅針盤:この国の「ウイルス」を撲滅するにはどうしたらいいのか?』(光文社刊)より引用しました。

 

●『日本再生への羅針盤』詳細はこちら

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