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介護保険を利用すると健康状態が悪化する3つの理由

ライフ・マネー 投稿日:2020.04.17 16:00FLASH編集部

介護保険を利用すると健康状態が悪化する3つの理由

 

 人は歳を取って弱っていく。介護が必要になったとしても、どうすれば「健康であること」が可能になるのか。「介護が必要になった場合」でも「健康であること」を実現していく取り組みには、実は、とても大きな課題が3つある。

 

 

■課題(1)利用者の状態を改善するインセンティブがない

 

 1つ目は、高齢者向けのサービスとして用意されている介護保険制度の仕組みが、介護に要する時間をベースとしており、より時間を要するものにより費用をかけるよう評価される仕組みとなっていることである。

 

 このため、状態が悪化するほど高い費用を支払う構造、つまり、サービスを提供している事業者は収益をより多く得ることができる構造となっている。

 

 現在の評価の軸である「介護の手間」とは、結局のところ、体などが十分に動かずにお世話を必要とする時には人手がより多く必要になるということであり、人件費の部分でより多くの費用が発生することに着目されている。

 

 この点、合理的な考え方ではある。しかし、昨今、指摘されることが増えてきたが、状態が悪化すればより多くの収益を得られる可能性があるため、事業者としては、利用者の状態を改善しようとすることに考えが及ばなくなってくる、という問題が生じるのである。

 

■課題(2)介護保険を使い始めたとたん、悪化を受け入れることになる

 

 2つ目は、介護サービスの内容の大半が「支援」中心であり、「生き生きと暮らす」ことを実現するサービスという視点がない、ということである。

 

 筆者は、お世話が中心のサービスを全て否定しているわけではない。実際に支援が必要な高齢者は存在するし、家族の負担という点から見た時も、お世話型のサービスの必要性は一定程度あることは十分に理解している。

 

 しかしながら、全て一律の「お世話型サービス」というのは、介護保険制度を良いものにしないのではないか、と指摘したいのである。

 

 何が言いたいかといえば、生活習慣を理由として虚弱が進み、介護保険制度を使う状態になった場合、介護保険を使うまでは、状態悪化を防ぎ、医療の介入を必要としなくなるところまで改善することを試み、そして自らのやりたいことに邁進できる。

 

 しかし、介護保険を使う状態になったとたんに、そのアプローチが弱まって、悪化していくことを受け入れていくことになり、自らやりたいことではなくて、事業所でのレクリエーションなどになる。介護保険を使う前と使う後とでは、暮らしのスタンスに大きな違いを生んでしまっているのである。

 

■課題(3)高齢者の地域や社会とのつながりを消してしまう

 

 そして課題の3つ目であるが、介護保険制度が介護が必要な人を支える制度のため、状態が悪くなった場合の支援メニューがどうしても議論の中心になるが、それゆえに、介護保険サービスを利用するようになったとたんに、誰も彼もが「支援対象者」という位置付けにされ、地域とのつながりをなくし、生きがいを感じることが難しい状況に陥るということである。

 

 本来ならば、人は歳を取って弱っていくため、それに応じて介護の介入が徐々に増えていくという考え方で進める必要がある。つまり、元気な時に持っている地域や社会とのつながりを消さないような流れの中で、介護の事業所が介入していくようなイメージが理想である。

 

 しかし、今の介護保険制度では、介護の対象になると、極論すれば、たとえば通所介護事業所の場合、家という建物から、車(送迎車)という小さな箱に乗り通所介護事業所という建物に移動する。

 

 そして建物に入ると、地域との接点はほとんどなく、日々のメニューが提供されて、また車という小さな箱に乗り、家という建物に戻る。制度上、送迎の際に他に立ち寄ることを良しともしていないから、本当に外に出ることがない。

 

「健康であること」のためには、社会参加など地域やコミュニティとのつながりが大切になる(社会とのつながりがあることが、その人自身に存在意義や生きている意義を感じさせる)のだが、介護保険制度のサービスの要素には、そういうテイストは薄いと言わざるを得ない。

 

 まち中で介護の事業所ができても、そこからの人の出入りは関係者のみで、地域に開かれた事業所(地域の人が事業所に日常的に自然に入っていくような)は数少ないのが現状である。

 

 こうした3つの課題に対しては、介護保険サービスにおいて、

 

・状態改善につながる取り組みを試みる事業者が評価される仕組みを導入する。

 

・状態改善の取り組みを試みる事業者の利用が適切であることを前提としたサービス利用を浸透させる。

 

・社会や地域とのつながりを生み出す事業所を作る。

 

 の3点の見直しにチャレンジしていくことが必要であろう。

 

 

 以上、野村晋氏の新刊『「自分らしく生きて死ぬ」ことがなぜ、難しいのか 行き詰まる「地域包括ケアシステム」の未来』(光文社新書)をもとに再構成しました。地域包括ケアシステムの構築は、なぜ芳しくない状況にあるのか、現役厚労官僚が検証します。

 

●『「自分らしく生きて死ぬ」ことがなぜ、難しいのか』詳細はこちら

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