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ヤクザの情報戦に学ぶ「気に入らない上司」の足の引っ張り方

ライフFLASH編集部
記事投稿日:2016.08.24 07:00 最終更新日:2016.08.24 12:16

ヤクザの情報戦に学ぶ「気に入らない上司」の足の引っ張り方

写真:AFLO

 

 作家・向谷匡史氏の近著『ヤクザ式 最後に勝つ「危機回避術」』(光文社新書)から、ヤクザに学ぶ情報戦のやり方を公開しよう。

 

 

 ドンパチは情報戦が制する。これがいまの抗争だ。「奴らを見つけ次第、ブッ放せ!」と、目を剥いて幹部が檄(げき)を飛ばしたのは昔の話。

 

 情報時代の現在にあっては、敵対組織に関する情報は幹部の愛人宅の住所まで調べてデータ化し、戦端が開かれるやピンポイントで電撃攻撃を仕掛ける。インテリジェンスが一国の安全を大きく左右するように、ヤクザ組織もまた、情報収集能力が戦闘と危機回避において大きくものをいうようになった。

 

 ヤクザの情報収集力が一躍注目されたのが、2003年4月の「栃木戦争」だ。栃木県内の運転代行業務をめぐって、住吉会系と弘道会系が対立。話し合いの場が持たれたが、交渉は決裂し、住吉会系が保冷車をバックで弘道会系の事務所に突っ込ませた。

 

 世間の耳目を引いたのは、弘道会系の「返し」だ。先制攻撃からわずか30分後、住吉会系の事務所に十数発の弾丸を撃ち込み、それに続いて関連会社と組員宅を襲撃。そして翌日には組幹部の一人を射殺する。

 

 これだけの電撃的な報復行動は、平時において情報を徹底収集していなければ不可能で、「ヤクザはここまでやるのか」とメディアは驚愕したものだった。

 

 近年、注目すべきは、収集した情報が「攪乱(かくらん)」のために使われるようになってきていることだ。

 

 これは、六代目山口組VS神戸山口組において顕著で、「非は相手、正義は我にあり」と、双方がメディアを通じて正当性を主張し、

 

「○×組が抜けた、凸凹組が帰ってきた」

「向こうはガタガタや」

「勝つのはこっちやでぇ」

 

 と、メディアに攪乱情報をリークすることで、相手組織の切り崩しや傘下組員の引き締めを図っているのだ。

 

 ヤクザ組織は暴対法と暴排条例でがんじがらめにされた上に、ドンパチやれば組織トップの使用者責任が問われる。イケイケで勝負がしにくくなれば、情報戦へシフトしていくのは必然だろう。ネット社会においては情報収集も容易なら、危機回避のための攪乱情報もたやすく流せるということなのだ。

 

 気に入らない上司の足を引っ張るなら、「うちの課長、部長に嫌われ始めたと聞いたけど、本当かな?」と同僚に投げかければよい。

 

「まさか」

「ウワサだから真偽はわからないけどさ」

 

 こんな調子で「情報」を流せば、たちまち社内に伝播(でんぱ)する。情報が瞬時に拡散していくのは、「俺は知っている」ということを自慢したいからで、ウワサがウワサを呼べば既成事実化していって、部下たちは課長に対して一定の距離をおくようになる。

 

 ヤクザ社会の情報戦は、組織の存亡が懸かっているだけに、危機管理においてビジネスマンの比ではない。

 

「拳銃(チャカ)より情報や」と口をそろえる若手ヤクザの言葉は、情報の「収集」と「拡散」が、危機を回避しつつ相手を制する強力な武器であることを、私たちに教えているのだ。

 


(著者略歴)

 

向谷匡史(むかいだにただし)

 1950年生まれ。広島県呉市出身。拓殖大学卒業。週刊誌記者などを経て、作家。浄土真宗本願寺派僧侶。保護司。日本空手道「昇空館」館長。 著書は『会話は「最初のひと言」が9割』『ヤクザ式 一瞬で「スゴい!」と思わせる人望術』(以上、光文社新書)、『ヤクザ式 ビジネスの「かけひき」で絶対に負けない技術』『ヤクザ式 ビジネスの「土壇場」で心理戦に負けない技術』『決定版 ヤクザの実戦心理術』(以上、光文社知恵の森文庫)、『怒る一流 怒れない二流』(フォレスト2545新書)、『仕事も人生もうまくいく人間関係「間合い」術』 (草思社)など多数。

著者ホームページ:http://www.mukaidani.jp

 


 

『ヤクザ式 最後に勝つ「危機回避術」』詳細はこちら >>

 

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