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教員の駆け込み退職 日教組は辞める先生ゼロの意外
ライフFLASH編集部
記事投稿日:2013.02.09 07:00 最終更新日:2016.03.03 22:51
埼玉県で120人にのぼる教員が、退職金減額前の“駆け込み退職”をして批判された。辞めた教師の声はいくつか報じられたが、今回は”駆け込み退職しなかった教員”2人と、4年後に定年を迎える56歳の男性中学校教員という”残された先生たち”に集まってもらい話を聞いた。
山崎先生(仮名・60)「120人も(駆け込み)退職を選ぶとは思わなかったけれど、これは今年埼玉で退職する教員1400人の8.6%。数が多いので注目されたけれど、他県と比べれば比率は低いんですけどね」
加藤先生(仮名・56)「教員のなかでいえば、当事者以外からは『辞めて当然』という意見が多かった。120人が辞めた事実は重い。これがゼロだったら、みんな『教師=聖職者』に毒されていて、『生活者』としての側面を忘れている」
竹内先生(仮名・60)「私は勤続37年で、退職金は150万円減額されて2500万円くらい。2月〜3月の月給を考えれば、差し引き70万円は返上して2カ月はタダ働きしろということですね」
山崎「埼玉教職員組合(日教組埼玉)の職員で今年退職する教員は10名弱でしたが、(駆け込み)退職はゼロのようです。たまたまですよ。でも、組合事務所に『日教組はけしからん』という抗議が10件くらいきたみたい(笑)。むしろ辞めた人のほうが勇気があるかもしれない。お金で辞めた人もいるけど、(退職教員への)ひどい仕打ちに抗議して辞めた人もかなりいたと思う」
加藤「3年生の公民の授業で生徒に聞いたら『辞めるのが当然。辞めてからでも卒業式に来ればいい。来賓とかでもいいじゃん」という声が多かった。生徒のほうが理解してくれている」
竹内「県は交渉の場で『辞めることを選択されても、先生方の責任ではありません。こちらでしっかり責任を取る』と言っていたんです。それなのに、上田知事が『無責任のそしりを受けてもやむをえない』なんて発言をするから、みんな怒りを覚えるんですよ」
山崎「埼玉は損な役回りですよね。ハシゴをはずして、落ちた人をムチで打つ。県教育局が現場の側に立ってくれなかったのはショックですよ」
加藤「地方公務員や教員の給料が下がるというのは、もう頑張れば撤回できるというものじゃない(笑)。自公政権で、この流れは強まりますから」
竹内「テレビのコメンテーターには、駆け込み退職をした人に『教育犯罪』とまで言った人がいましたが、現場では『聖職者意識が欠けている』なんて非難する声はないですよ。1月末で退職して、2月〜3月はボランティアでも働きたいと相談していた人もかなりいたんですよ」
山崎「まぁ、いびつな制度といまさら訴えても、取り戻せないですけどね。埼玉だけがヤリ玉にあげられて、他の自治体では減額の幅を減らす措置を取るようになった。他県の教員には感謝してほしいよね(笑)」
(週刊FLASH 2013年2月19日号)