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日野原重明の独自健康法は「ジュースにオリーブオイル」

ライフFLASH編集部
記事投稿日:2017.08.13 06:00 最終更新日:2017.08.13 06:00

日野原重明の独自健康法は「ジュースにオリーブオイル」

『写真:AFLO』

 

「日野原先生が94歳のとき、血液を提供していただきました。ホルモンの数値が非常に興味深いものでした。日野原先生のホルモンは、インスリン、アディポネクチン、DHEA-Sの値が40代半ばの壮年期並みだったのです」

 

 こう話すのは、お茶の水健康長寿クリニック院長の白澤卓二氏だ。7月18日に105歳の大往生を遂げた聖路加国際病院名誉院長・日野原重明医師と、研究を通じ、長年交流を持っていた。

 

「すべての間は“長寿遺伝子”と呼ばれる遺伝子を持つと考えられています。先に挙げたホルモンは、こうした遺伝子を活性化する働きがあり、数値からいって先生は認知機能が衰えないと予測しました。100歳の誕生日を迎えるだろうと思ったら、そのとおりになりました。日野原先生独自の健康法が、先生の体に適していたと言えます」(同前)

 

 日野原氏の人生を変えたきっかけになったのが、1970年3月に巻き込まれた、よど号ハイジャック事件である。日野原氏は、韓国で解放されるまでの4日間人質となった。 94歳のとき、雑誌のインタビューでこう語っている。

 

「それまでは、何かをやってやろうという気持ちがありました。いい仕事をし、いい研究をし、有名になろうという。それが(事件以降)、“与えられた命だ”という気持ちになりました」

 

 よど号事件以降、日野原氏は、猛烈に働くようになった。仕事時間は一日18時間、就寝は午前2時、睡眠時間は5時間。99歳を迎えるまで、原稿執筆で徹夜した。「使える時間」を増やすために編み出したのが、次の「三カ条」に代表される“日野原流”の健康法だった。

 

 まず第一に、「ジュースにオリーブオイルを入れるべし」。

 

 コレステロール値が高かった日野原氏は、オリーブオイルに含まれるオレイン酸に注目。毎朝コップ1杯の100%果汁のジュースに大さじ1杯のオリーブオイルを入れて飲んでいた。朝は飲み物中心、昼食は牛乳とクッキー2枚、夕飯はご飯に野菜と魚、週3回は牛ヒレ肉を食べた。

 

 次に、「“うつぶせ”で寝るべし」。

 

 85歳のころから実践していたのが「うつぶせ寝」。うつぶせで寝ると起床時に痰が絡まなくなったことから始めたという。生前、日野原氏は肺活量を比較し、「あおむけ寝だと1900ミリリットルだった酸素量が、うつぶせ寝だと2900ミリリットルに増えた」と評価。酸素を多く取り込め、血液がサラサラになると盛んに推奨していた。

 

 三つ目が、「階段では“競走”するべし」。

 

 60歳を過ぎ仕事が忙しくなり、運動不足が気になった日野原氏。エレベーターやエスカレーターを使わず、階段を一段飛ばしで駆け上がる「階段健康法」を取り入れた。エスカレーターの脇にある階段を上るときは、エスカレーターに乗った人を追い抜くように上った。早足で歩くことを意識的に生活に取り入れたという。

 

 ちなみに、日野原氏が30歳だったころの体重は60キロだったが、 101歳当時62キロ。体重やカロリー摂取量の管理も特筆すべきポイントだという。

 

「先生は、少しでも体重が増えたら2~3日食事を制限して元に戻していました。一日あたりのカロリー摂取量も、70歳以上の適正値は1600キロカロリーとされますが、100歳を超えたころは、1200キロカロリーを守っていました。体脂肪やコレステロール値にも人一倍注意を払っていましたね。でも、体調の維持に必要なカロリー摂取量は人や年齢で違うので、そのまま真似しても体に合わないので要注意です」(同前)

 

 日野原氏は、聖路加国際病院内に民間初の人間ドックを開設。医療界にもたらした業績は少なくない。

 

「成人病といわれた脳卒中や心臓病などの病気を、生活習慣病という概念に変えることにも関わりました。でもいちばんは、ご自身で医療のありかたを体現されてきたことでしょう」(同前)

 

 日野原氏は、2017年3月、消化器の機能が低下したが、経管栄養や胃瘻の設置を拒否。亡くなった日、日野原氏の次男は、「本人の強い意思だった。無理に命を残す治療に反対していました」と報道陣に明かした。

 

 白澤氏は、「日野原先生がずっと言われていた“ピンピンコロリ”を実践したかのようです」と偲んだ。日野原氏が目標とした医療は、「上手にフィナーレに持っていく」こと。最後の時まで、“日野原流”を貫いた。

 

(週刊FLASH 2017年8月8日号)

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