「そういえば、さっき先月の同窓会の話したじゃん」
お菓子を頬張る彼女に話しかける。
「卒業前にタイムカプセルを埋めたの覚えてる? あれ、取り出したんだよ」
今日、彼女を誘った本当の理由はそこにあった。
「覚えてないや。何入れたんだっけ?」
「10年後の自分に宛てた手紙を入れたんだよ。あとは当時好きだった人の名前を書いたりしていたかな」
「じゃあさ、せ〜ので当時好きだった人の名前言おうよ」
「なんでそうなるんだよ」と、いきなりの学生ノリに動揺する。
「いいじゃん! はい、せ〜の!」
「小林さん!」
……ハメられた。俺しか言っていない。紗倉はしてやったりの表情だ。
「だよね〜。声もかわいいし、男子はみんな好きだったよね」
咳払いをしてごまかす。
「なんでまなは言わないんだよ」
「あ!」と彼女が目を見張る。
「まなって呼んでくれたね!」
にんまりしている彼女に目を向けることができなかった。
「この話は終わり。シャンパン飲もう」
「一回ポンってやつ、やってみたかったんだよね〜」と、ねだる彼女。もうまなに言われるがままである。