それからテレビをつけてお笑い番組を観た。完全にリラックスしたまなは高級ホテルのソファを自宅のそれのような扱いにしている。お互いずいぶんと飲んだせいか完全に酔っ払っていた。
「この部屋暑くない?」と、まな。
「エアコンつけようか」と言う俺の言葉も聞かずに見せびらかすように服を脱ぎ始めた。
「おいおい、男の前でそんな…」
「しょうがないよ。お酒でも飲まなきゃ、キミの前で大胆になれないよ」
と呟いた。急にシリアスな顔になった彼女が下着姿のまま近づいてくる。
「ホントはね、さっき言わなかったけれど、10年前に書いたことちゃんと覚えてるんだ」
ゴクリ、唾を飲む。そのままお互いの唇が重なった。本能に抗うようにしていた心が温かい舌の上で少しずつ溶けていった。ソファの上で濃厚なキスを続ける。
「焼き肉の味がするね」と彼女は少し照れて笑った。
ベッドの上で彼女を抱き寄せ、ブラジャーのホックを外す。ブラの下から、見事な乳房が現われた。
「そんなにジロジロ見ないでよ」と、あの紗倉まながまるで処女のようなことを言う。そのまま、乳房を手のひらで包み、彼女の体温を感じた。まなの細い指が俺の乳首に触れる。置き去りの理性をもう振り返ることはなく、彼女のショーツに手をかける。丸々と肉感的な尻に欲望が加速した。そのまま彼女のしっとりとした性器に触れ、その感触を指で味わう。彼女の手もまた屹立した我がムスコへ。
「舐めてもいい?」という言葉に「俺も舐めたい」と答え、互い違いの重箱のように重なる。濡れた秘部はぬらぬらと光り、妖しい色をしていた。
一方で、彼女のねっとりとした舌使いがペニスを刺激する。早くはないほうだが、まなのそれは経験したことのないような格別さがあった。
「ヒゲはすごいのに、脚はツルツルなんだね」と、彼女は指で俺の脚を撫でた。今度は向き合うようにベッドに横になり、またキスをする。「今度は焼き肉の味じゃないね」と、まなが笑った。
コンビニでこっそり買っていたコンドームを取り出して、「挿れていいかな?」と聞くと、まなは無言で頷いた。
先端を愛液で濡らし、めりめりと挿入する。お互い深い息が漏れた。口でされるよりもさらに強い快感を覚えた。吸いつくようにムスコを包み込む。ゆっくりと腰を前後に動かし、徐々にそのスピードを速める。小気味いい鈴のような声が聞こえた。奥に当たるのを感じながら、獣のように彼女を貪る。動きに合わせて揺れるバスト、先ほどまで少女のように笑っていた彼女の官能的な表情、そのすべてがエクスタシーへの導きだった。
これからだというときなのに心と体は相容れないものなのか、愚息はもう限界に達していた。大きく、グッと彼女に押し入れた瞬間、暴発。
俺のすべてが溢れ出てしまった瞬間は「あ……」と、かなり間抜けな声を出していたと思う。ただ、味わったことのない最高の射精体験であったことは間違いない。
スマホのアラームで目を覚ました。昨夜はあのまま眠ってしまったようだった。眩しい朝日に目を擦りながら、時計に目をやると時刻は8時。隣にまなの姿はなかった。
アラームを切り、スマホを見ると、まなからのメッセージの通知が届いていた。
さくらまな
28歳 1993年3月23日生まれ 千葉県出身 T160・B89(F)W58H89 2011年にデビューし、今年10周年イヤーを迎える。セクシー女優としてさまざまな賞を受賞する一方で、小説家として『最低。』(KADOKAWA)、『春、死なん』(講談社)などの作品を執筆。エッセイを発表するなど、文筆家としても活動している。そのほか最新情報は、公式Twitter(@sakuramanaTeee)にて
写真・木村哲夫
スタイリスト・田中陽子
ヘアメイク・ササキケイコ
撮影協力・焼肉冷麺だいじゅ