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【ニャイス・トゥー・ミート・ユー!】金物店のミー
ライフFLASH編集部
記事投稿日:2017.08.26 11:00 最終更新日:2017.08.26 11:00
江戸時代、武器庫が置かれていたことからこの名前がついたという、高松市内の「兵庫町商店街」。石崎金物店は、1952(昭和27)年創業の老舗だ。店内には数え切れないほどの調理器具が並んでいる。ここは、プロの料理人から一般の主婦まで幅広い客層が訪れる、調理道具の専門店なのだ。
その店先には、年季の入った1個の鍋が。これは売り物ではなく、三毛猫のミーが中に入って寝るための「ベッド」のようなもの。
「ミーは、昨年11月に亡くなった先代の社長が、2004年の秋に保護したんです。近所のパチンコ店で、モップを洗ったバケツの水を飲んでいるところでした。当時3歳くらいで、顔はただれ、体はノミだらけ。先代の社長がすぐに病院へ連れていきました」(現社長の佐名洋子さん・以下同)
元気になったミーは、たくさんの調理道具が並んだお店で暮らすように。とくに中華鍋の中で寝るのがお気に入りで、そんな「鍋ねこ」姿が買い物客らのハートを捉え、商店街の人気者になっていった。
また先代社長、現社長をはじめ、大のねこ好きがお店に揃っていたため、いつからか馴染みの買い物客や知人から「保護したねこの飼い主を見つけてほしい」などと相談を受けるようになったという。
「やむをえずという場合に限りますが、これまでに約50匹の飼い主を探してきました。新しい飼い主さんから『こんなに大きくなりました』と写真が送られてくることもあります。幸せに暮らす姿を見ると、いい飼い主さんに巡り会えてよかった、と思います」
店には現在、ミーのほかに5匹のねこが飼われ、気ままにお店の中を歩き回っている。こちらの6匹も、もらわれていった50匹に負けず劣らず、幸せそうな様子なのだ。
(週刊FLASH 2017年5月30日号)