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吉田戦車「キング打出料理鍋」を買ったがデカすぎておののく

連載 投稿日:2017.09.13 20:00FLASH編集部

吉田戦車「キング打出料理鍋」を買ったがデカすぎておののく

 

 中尾アルミの「キング打出料理鍋」の24センチを愛用している。

 

 そのへんの店のキッチン用品売り場では、まず見かけない鍋だ。私もネットで知ったのだが、いわゆるプロユースの、おもに和食店で使われる鍋らしかった。

 

 台東区の合羽橋道具街にいけば買えるが、ネットショップで購入した。かなり割引きされたうえで4000円ぐらいではなかったか。

 

 軽くて沸騰が早いので、おひたし、煮もの、麺ゆでにと、毎日のように使っている。

 

 持ち手もアルミなので鍋つかみ必須だが、すぐに慣れた。安くはないが、使用頻度を考えれば成功した買いものといっていいだろう。

 

 妻も便利に使いながら、 「客が来たとき用に、もうちょっと大きいのがあれば」というようなことを常々いっていた。

 

 たとえば容量3.9リットルのこの鍋だとパスタ3人前、300gぐらいが適正量なので、子供の友だち家族が2、3組来たときは何度かに分けてゆでねばならず、めんどうらしかっ た。

 

 じゃあ買おう、ということになったのが2016年暮れ。打出料理鍋33センチ。容量は11.0リットルだ。鍋の厚さは24センチは2.0ミリだが、33センチだと2.3ミリと分厚くなる。

 

 装甲が厚い、という言葉に男子は弱い。私も男子の端くれなのでそのスペックにワクワクした。ネットショップで5025円。ついでにアルミの専用ふた2570円も買った。

 

 現物が届き、その段ボール箱のでかさに仰天し、開梱して本体のでかさに息をのむ。アルミの光沢が美しいが、でかい。

 

 米のとぎ汁と野菜の皮を入れて煮沸し、鍋ならしをしたが、その必要な湯の量に圧倒された。妻がパスタや枝豆をゆでるのに2、3回使ってみたようだ。

 

「……お湯の量が怖すぎる。両手で持って流しのザルにあけることができないから、中身をすくったあと、いつまでもこの中に大量の熱湯があるわけで、とても不安」

 

 感想が暗い。24センチは家庭用だが、33センチはすでに業務用なのかもしれない。

 

 そういえば、アルミのふたはまるで『キャプテン・アメリカ』の、あのヒーロー業務用の丸い盾だ。私がアメリカの子供だったら、確実にこれでキャプテン・アメリカごっこをして親に叱られるだろう。

 

 私も乾(ほ)しうどんをゆでてみた。麺揚げ用に、わざわざ築地場外で買ってきた手つきザル(1280円)を華麗に使っていい気分だったが、やはりうちの台所にはでかいな……、と思った。

 

 今のところ24センチ鍋でじゅうぶんだが、娘の摂取麺量は今後どんどん増えていくわけで、これが活用される日も近いのかもしれない。

 

 秋になったら、この大鍋で故郷の「芋の子汁」を作って人を呼んだりするといいかもしれないが、幼稚園のときのように、子供たちが家にドカッと来ることは減ったよなー、と、しんみりする。

 

よしだせんしゃ
マンガ家 1963年生まれ 岩手県出身 『伝染るんです。』『ぷりぷり県』『まんが親』『おかゆネコ』など著作多数。「ビッグコミックオリジナル」で『出かけ親』、「ビッグコミックスピリッツ」にて『忍風!肉とめし』を連載中。妻はマンガ家・伊藤理佐さん

 

※本誌連載では、毎週Smart FLASH未公開のイラストも掲載
(週刊FLASH 2017年9月19日号)

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