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吉田戦車「もしかしてアルコール依存症?」と思って徳利を買う

連載FLASH編集部
記事投稿日:2018.06.06 09:00 最終更新日:2024.05.12 06:22

吉田戦車「もしかしてアルコール依存症?」と思って徳利を買う

 

 芸能人の「酔っぱらって女子高生にわいせつ行為」事件の記事をいくつか読んで一番思ったのが、「この人の依存レベルに近いところに、私もいるのかもな……」ということだった。

 

 アルコール依存症のチェックシートというのをやってみると、もう設問1「どれくらいの頻度で飲みますか?」から、だいたいの結果が自分でわかる。

 

「アルコール依存症の疑いがあります。断酒か節酒をおすすめします」みたいな。なかなか酒を減らせない。

 

 休肝日は現在、かろうじて週に1日。昨年、いわゆる平日禁酒を1、2カ月やってみて、体調などとてもよかったのだが、戻った。そんな飲み方が定着したら一番いいんでしょうけどね……。

 

 酒量自体は昔より減ってきている。6時に起きて朝食を作らねば、というプレッシャーも、歯止めになっているのだろう。

 

 とはいえ、日本酒換算で3合ぐらいはだいたい飲んでいる。そんな日々の中、もしかして節酒できるのではないか、と思ってやってみたのが「徳利で飲む」ということだ。

 

 食器売り場で、「蛇の目一合燗」という徳利を目にして、ついほしくなり、買った。税込み486円。うちにはちろり、片口はあるが、徳利はなかった。

 

 小ぶりでとてもかわいい。これで、ついだりつがれたりしないで、一人分をきりっと飲みたい、と思った。

 

 二合徳利は大きすぎて、なんだか酒にいじきたない感じだ(酒にいじきたないのだが)。妻が出かけて子供と二人で夕飯の日に、これでやってみた。酒器はぐいのみではなくて、おちょこ。冷やで。

 

 なめるようにちびちびやりながら、夕飯を食べていると、これがけっこうもつのだった。

 

 おちょこ4杯で徳利が空になったのだが、すでに子供は食事を終えていて、そして意外なほどの酔いを感じた。

 

 その日はそこで打ち止めにして、おとなしく寝ることができた。医療関係者が推奨する、絶対ムリ、と思っていた「体にいい酒の飲み方は、日本酒で一日一合ほど」が、できるかも。

 

 徳利、イケるかもしれん。もう一本くらいあってもいいなと、ネットで一合徳利を検索した。これで飲みたい、と思えるかわいいものはあまりない。

 

「正一合」と書かれたものを買ってみた。税込み1188円。文字が独特の書体でおもしろいし、素朴な丸みが手にうれしい。

 

 後日妻と飲んだ時は、2合で抑えることができた。

 

 ……と、調子のいいことを書いているが、ワインだと徳利を使うわけにもいかず、「妻と2人で1本半なら上出来、だいたい2本」という飲酒量になってしまう。

 

 ワインも、リーズナブルでけっこう楽しめるやつが増えてきたよな、などといってるところがもういかん。

 

 アルコールとの闘い、というか、「アルコールとのつきあい方をめぐっての、自分との闘い」は、今後も続いていくのだった。

 

よしだせんしゃ
マンガ家 1963年生まれ 岩手県出身 『伝染るんです。』『ぷりぷり県』『まんが親』『おかゆネコ』など著作多数。「ビッグコミックオリジナル」で『出かけ親』、「ビッグコミックスピリッツ」にて『忍風! 肉とめし』を連載中。妻はマンガ家・伊藤理佐さん

 

※本誌連載では、毎週Smart FLASH未公開のイラストも掲載

 

(週刊FLASH 2018年6月12日号)

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