連載

吉田戦車「自動機のウーロン茶」探し求めて調査を開始

連載FLASH編集部
記事投稿日:2018.09.12 11:00 最終更新日:2018.09.12 11:00

吉田戦車「自動機のウーロン茶」探し求めて調査を開始

 

 先日焼き肉屋で、珍しくアルコール抜きの夕食をとった。その時飲んだウーロン茶がとてもおいしかった。なんだか冷たいウーロン茶の魅力を再確認したような気持ちになった。

 

 その後、帰省した折、帰りの新幹線で飲むためにウーロン茶を買おうとしたのだが、水沢江刺駅の4、5台ある自動販売機に、一本も売っていなかった。

 

 

 売店にも置いていない。はて。

 

 ウーロン茶といえば、飲食店では甘くないソフトドリンクの代表格だろう? なぜこんなに置いていないのか? と疑問に思いつつ、東京に戻った。

 

 もしかして、飲食店とちがって、自動販売機的にはもはやウーロン茶は主流ではないのではないか、と考え、自転車で調査に出かけることにした。

 

 気温は31度、くもり。蒸し暑いけれどそれほど過酷ではないコンディション。水分補給はとうぜんペットボトルのウーロン茶だ。スーパーで税込み85円ほどで、「サントリー烏龍茶」を買う。

 

 日頃から「自動販売機で飲みものを買うのは損」と考え、自販機はあまり使っていないので、なかなか新鮮な調査である。とにかく、100台チェックすることに決めた。

 

 自転車でゆっくり走り、目に入った自販機の前で停まり、ウーロン茶の有無をスマホのメモにカウントしていく。

 

 都内なので場所によっては10メートルおきに設置してあり、作業ははかどったが、20、30台あたりで「……これくらいでサンプルとしては十分じゃないか」とやめたくなったりもした。

 

 50台を過ぎてから、何かのスイッチが入った。「自販機チェックハイ」とでもいうような高揚した精神状態になり、100台達成が、むしろ楽しみになってきた。

 

 結果をいおう。100台中、ウーロン茶をあつかっていた自販機は15台。

 

 煎茶は多い。煎茶が入っていない自販機は3、4台程度。煎茶以外のお茶は、夏だからか麦茶が多かった。

 

 他には「十六茶」「爽健美茶」などのブレンド茶、ほうじ茶、そして砂糖が入った紅茶。ウーロン茶の仲間といっていい、ジャスミン茶なんてのもあった。  

 

 ウーロン茶は、完全にそれら「煎茶以外のお茶」の一つにすぎなくなってしまっている感じだった。
(あくまで、うちの近所の集計結果に対しての感想です)

 

 ちなみに一番多かったのは、ポッカサッポロの国産茶葉100%「にっぽん烏龍」130円。次が伊藤園「黄金烏龍茶」。

 

 サントリー烏龍茶は3台のみ。そのうち2台は2本並べて売っていたが、サントリーの自販機の多さから見れば、おどろくほどあつかいが少ないといっていい。

 

 国産の煎茶が「お茶の主役」なのはいいことだよな、と思う。だが、国産ウーロン茶を生産しよう、売ろう、という気概も応援したい。自販機の場所を把握しておこうと思った。

 

よしだせんしゃ 
マンガ家 1963年生まれ 岩手県出身 『伝染るんです。』『ぷりぷり県』『まんが親』『おかゆネコ』など著作多数。「ビッグコミックオリジナル」で『出かけ親』、「ビッグコミックスピリッツ」にて『忍風! 肉とめし』を連載中。妻はマンガ家・伊藤理佐さん。最新刊『忍風! 肉とめし 1』『来れば? ねこ占い屋』(ともに小学館)が発売中!
 

※本誌連載では、毎週Smart FLASH未公開のイラストも掲載
(週刊FLASH 2018年9月18日号)

今、あなたにおすすめの記事

連載一覧をもっと見る