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女子アナ横井弘海の「エンタメ時間」バンクシーって誰? ナゾの素性に興味津々

芸能・女子アナFLASH編集部
記事投稿日:2021.09.03 16:00 最終更新日:2021.09.03 23:12

女子アナ横井弘海の「エンタメ時間」バンクシーって誰? ナゾの素性に興味津々

バンクシーって何者?

 

 東京・品川の寺田倉庫 G1ビルで、『バンクシーって誰? 展』が開催中です(〜2021年12月5日)。
 

 ご存じの方も多いと思いますが、バンクシー(Banksy)と言えば、ストリート・アート界のカリスマです。覆面作家なのでプロフィールはよくわかりませんが、英国ブリストルで少年時代を送ったと考えられており、1990年代に英国を拠点にストリート・アートを描き始めました。

 

 

 最初に彼が世界を驚かせたのは、2005年、ニューヨーク近代美術館、メトロポリタン美術館、アメリカ自然史博物館、ブルックリン美術館はじめ有名美術館や博物館に、無断で自分の作品を展示し、数日間気づかれずに作品が展示されたこと。

 

 2018年にはオークションで「風船と少女」という代表的な作品が1億5000万円で落札された瞬間、絵の額縁に仕込まれていたシュレッダーが作動し、作品の下半分が裁断されたというニュースもありました。

 

 バンクシーは、世界各地の壁などに、人権問題や消費社会への警鐘など、政治的・社会的メッセージの強い作品を描き続けています。顔がわからないだけでなく、創作活動の全貌も動機も知る人はほとんどいない。近年は遊園地のプロデュースから映画監督まで手がけているという、謎に包まれた現代アーティストです。

 

 そして、Instagramのフォロワー数はなんと1119万人。公式Instagramで新作を発表することも多く、とにかく計り知れない影響力を持っています。

 

 昨年、横浜で開催された『BANKSY展 GENIUS OR VANDAL?(バンクシー展 天才か反逆者か)』を見にいきましたが、こちらも大人気でした。

 

 そんな超人気アーティストの今回の展覧会は、世界各地の街角に描かれたバンクシーの世界を「体感」できて、ひときわ感動!

 

 ストリート・アートはグラフィティ(落書き)・アートとも呼ばれます。所有者や管理者の許可を得ずゲリラ的に描かれる作品の数々。描くのが難しいだけでなく、作品は「落書き」として消されてしまったり、上書きされてしまったりすることもしばしば。

 

 できるものなら現地でその空気を感じながら、メッセージをかみしめて作品を味わいたいものですが、現実はそうもいきません。そこで、会場に映画セットのような展示が作られ、東京にいながらにしてバンクシーの世界観を感じることができる斬新な展覧会でした。

 

 どれも素晴らしかったですが、忘れられない作品がふたつ。

 

 ひとつは「Barely Legal(かろうじて合法)」というスプレー塗料で赤と金色のダマスク模様にペイントされたインド象。

 

 2006年に本格的に米国進出を果たした個展では、本物の象が有害でない塗料で飾られて登場したとか。動物虐待という批判にさらされない「かろうじて合法」。そして、しばしば問題になる自らのグラフィティ行為にもかけているそうです。

 

 英語で「Elephant in the room」とは、直訳で「部屋に象がいる」ですが、「明白な問題について、誰も触れようとしない」という意味になります。これって、今の日本にもたくさんあるなぁと、カラフルな象を見ながら考えてしまいました。撮影禁止だったので、会場でぜひ見てください。

 

 もうひとつは「The Walled Off Hotel(壁で分断されたホテル)」。2017年、バンクシーがパレスチナ自治区のベツレヘム市内にオープンしたホテルです。

 

 イスラエル政府が築いた分離壁の目の前にあえて建つホテル。世間の目を少しでもパレスチナ問題に向けさせ、その不条理を実感してもらうために作り、バンクシーも内装を手がけたそうです。ここには、いつか訪れたいなぁと、真剣に思っています。

 

 展覧会の帰り際、2018年末、東京湾の防潮扉に描かれたネズミの絵がバンクシーの作ではないか、と注目を集めたことを思い出しました。

 

 一般公開を求める声が多かったため、絵が描かれた部分だけを外し、期間限定で東京都庁のロビーに展示されました。現在は日の出2号船客待合所(シンフォニー乗り場)の奥の壁に常設展示されています。

 

 東京都が真贋調査したものの、結果はわからず。「バンクシーサイドから何の回答もなかったと聞いています」と、待合室の女性スタッフが笑顔で話してくれました。

 

 東京都のサイトには、「『バンクシー作品らしきネズミの絵』の展示について」と題したページがあります。真贋は現時点では不明で、公共物への落書きは決して容認できるものではないが、地元の方々から地域資源として保管し、多くの都民が見学できるようにして欲しい旨の要望があり、展示を決めたとの説明があります。

 

 さて、Who is Banksy?

 

 バンクシーと聞けば、お役所も動いてしまう。仮に偽物だと判断されたとき、このネズミちゃんの運命はどうなるのでしょう。バンクシーはあえて回答しないで、人の心を眺めているのかしら。

 

 どんな人か想像もつきませんが、これからも作品を見続けながら、自分もバンクシーのような「世界」を見る目を持ちたい。ぼんやりそう思いながら、待合室を後にしました。

 

横井弘海(よこいひろみ)
東京都出身。慶應義塾大学法学部卒業後、テレビ東京パーソナリティ室(現アナウンス室)所属を経てフリー。アナウンサー時代に培った経験を活かし、アスリートや企業人、外交官などのインタビュー、司会、講演、執筆活動を続ける。旅行好きで、訪問国は70カ国以上。著書に『大使夫人』(朝日新聞社)

 

モンキー・マスクのバンクシー Banksy, Monkey Mask Session (Tag) 2003年 (c)Photographed by James Pfaff

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