今回訴えを起こしているひとりで、2021年2月に出店し、8月に撤退を決めた金沢店(石川県)のオーナーAさんが語る。
「出店にあたっては、加盟金としてまず200万円を支払いました。さらに、店舗の内装費もこちら持ちだったので、初期投資だけで700万円近くかかりました。
6カ月の売り上げ総額? 数十万円です。リースしていた機械代などを含め、エンリケ氏を信じてしまったことで1200万円ほど損しました」
Aさんは、エンリケ空間の担当者に「売り上げも立たないし、このまま続けていくのは難しい」と話したところ、違約金300万円を支払うよう迫られた。「払えない」と伝えると、「違約金を支払わずに店舗を閉めるのは不可能です」と言われたことで、このままでは埒が明かないと弁護士を入れたという。
さらに、撤退したあともAさんたちを困らせているのが、エンリケ氏の夫S氏による嫌がらせだという。
「Sさんも17万人近いフォロワーがいるんですけど、彼は、Instagramのストーリーで、撤退した私たちのことを、自分で責任を取らない “ゴミ集団” という意味で、『ゴミレンジャイ』と呼んでバカにしているんです。
売り上げをあげられないのは、とにかく『私たちの無力さ、努力の足りなさ、ナメて始めた結果、クソみたいな奴ら』など、さんざんストーリーに上げられました。私個人は、Instagramのトップ画面から勝手にスクショされて、子供の顔をモザイクもかけずに、そのまま載せられたりもしました」
S氏がわざわざそんなことをする目的は、なんなのだろうか?
「私たちに訴えをやめさせる目的だけでなく、既存店へのプレッシャーもあると思います。“やめると、おまえらもこうなるよ?” みたいな。
いちばん腹立たしいのは、Sさんがやっていることをエンリケ氏はすべて知っているはずなのに、やめさせないことです。正直、始めるときは、テレビ番組などのメディアにも出てるエンリケ氏だから、契約したらそれっきりアフターフォローはなし、なんてことにはならないと思っていました。
でも、実際は投げっぱなし、ほったらかしでした。今はエンリケ氏に対して怒りしかありません」
また、施術に使う機械自体にも問題が多かったという。Aさん同様に訴訟を起こしているひとりで、わずか半年足らずで1000万円の赤字を抱えてしまったという函館店(北海道)のオーナーBさんが話を聞かせてくれた。
「そもそも店に納入された機械が、最初に受けていた説明と違うものだったんです。しょっちゅう不具合が起こるし、高価な特注品と聞かされていたのに、自分で調べてみると楽天や海外の通販サイトで二束三文で売っていることを知ったときは絶句しました……。
集客にしても、エンリケ氏や『エンリケ空間』本部のInstagramのストーリーに流れる広告は、“お客さんを募集する広告” ではなくて、“加盟店を募集する広告” でしかないんですよ。
機械も頻繁に不調を起こすし、これでお客様からお金はとれないなと。私は7カ月で撤退を決めましたが、最大の要因は、良心の呵責に耐えられなくなったことでした」
本誌は2021年3月末にエンリケ氏がAさんが担当する金沢店を訪れ、エステ機器の説明に同席する動画を入手した。会社の代表取締役として、フランチャイズを募集し機器のリースを斡旋する立場からすれば、機器については詳しいはずだが、エンリケ氏から発せられたのは意外な一言だった。
「あたしこれ初めて使うんですよ」
エステの目玉である「高級機器」を初めて使うことを告白したのだ。
フランチャイズビジネス案件に精通する牛島総合法律事務所の猿倉健司弁護士が語る。
「フランチャイズ本部がどのようなサポートをしてくれるのか、収支予想にどの程度の確実性があるのかなど、加盟者に対して契約時におこなわれた説明の内容によりますが、多くの加盟者において、このようなトラブルが多数起こっているのだとすれば、契約時の説明内容が十分でなかったことや、その後の対応が問題であった可能性はあります」
( SmartFLASH )